米9月中古住宅販売件数、前月比7%増の年率629万戸―市場予想上回る

経済

2021/10/22 10:55

<チェックポイント>

●住宅ローン金利上昇を見据え、住宅購入の前倒し強まる

●販売価格中央値35万2800ドル―3カ月連続で低下

●22年には住宅供給が増加する可能性が高い―NAR見通し

 NAR(全米不動産業協会)が22日発表した9月中古住宅販売件数(季節調整済み)は前月比7.0%増の年率換算629万戸と、8月の同2.0%減から増加に転じた。1月(666万戸)以来8カ月ぶりの高水準となり、市場予想の609万戸を上回った。市場では、テーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)の年内開始により、住宅ローン金利が一段と上昇する前に住宅を前倒しで購入する動きが強まっているとみている。

 一方、季節要因を無視できる前年比は2.3%減となり、2カ月連続で前年水準を下回った。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、今後の見通しについて、「住宅ローン金利が22年に一段と上昇する前に住宅を購入しようと考えている人が増え多く、相変わらず住宅需要は強い。建築業者はサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)の問題があるものの住宅建築を急いでおり、早ければ22年には住宅供給が増加する可能性が高い」と楽観的な見解を示している。

 住宅供給の過不足感を示す9月時点の未販売住宅(在庫)は前月比0.8%減の127万戸と、2カ月連続で減少したが、21年のピークとなった7月の131万戸に近い水準を維持している。9月の販売ペースに換算した在庫水準は2.4カ月分となり、8月の2.6カ月分や1年前の2.7カ月分を下回った。このうち、一戸建て住宅の在庫も前月比0.9%減の110万戸と、2カ月連続で減少したが、3カ月連続で110万戸台を維持した。

 中古住宅の販売ペースをみると、販売物件が9月中に市場に残っていた期間は17日間と、8月と変わらなかったが、中古住宅の購入競争が激しいため、すぐ売り切れとなっている。

 地域別販売件数は、全体の4割以上を占め、最もウエートが大きい南部が前月比8.6%増(前年比横ばい)の277万戸となり、8月の同3.0%減から増加に転じた。北東部も同5.5%増(同8.3%減)の77万戸、西部も同6.5%増(同3.0%減)の131万戸、中西部も同5.1%増(同2.7%減)の144万戸と、全地区で増加した。

 住宅価格は中央値で前月比1.4%低下の35万2800ドルと、3カ月連続で低下したが、8月の過去最高値に近い水準で、前年比は13.3%上昇と、20年12月以来の低い伸びとなったとはいえ、115カ月連続で前年水準を上回った。主力の一戸建ては35万9700ドル(前月比1.4%低下)となった。

 住宅価格の低下が限定的なのは、格安なフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)物件やショートセールズ(フォークロージャー手続きに進む前の早い段階で債務者と債権者が協議して住宅を任意売却)物件などのディストレスト物件の供給が依然細っていることが一因。9月のディストレスト物件の販売比率は1%弱と、8月や1年前と変わらなかった。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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