米9月新築住宅販売件数、前月比14%増の80万戸―6カ月ぶり高水準、市場予想上回る

経済

2021/10/27 11:02

<チェックポイント>

●最大市場南部が前月比で3カ月連続増加

●在庫(供給)件数は前月比横ばい―増加は5カ月連続でストップ

●住宅価格(中央値)は40万8800ドルで依然過去最高

 米商務省が26日発表した9月新築住宅販売件数(季節調整済み)は前月比14.0%増の年率換算80万戸と、8月の同1.4%減(改定前は1.5%増)から6カ月ぶりに増加に転じ、3月(87万3000戸)以来の高水準となった。市場予想の75万5000-76万戸を上回り、サプライズとなった。

 前年比では17.6%減と、8月の28.1%減(改定前は24.3%減)に続いて、4カ月連続で前年水準を下回ったが、減少幅が縮小した。水準的にはパンデミック前の1月の75万6000戸を上回り、14年ぶりの高水準となった20年全体平均の82万2000戸に回復する兆しが見え始めた。

 一方、過去3カ月の販売件数の改定値は、6月が前回発表時の68万5000戸から68万3000戸、7月は72万9000戸から71万2000戸、8月は74万戸から70万2000戸と、いずれも引き下げられ、計5万7000戸の大幅下方改定となった。

 販売件数の内訳は、着工前時点での販売件数(バックログ)が前月比27%増の26万3000戸と、3カ月連続で増加し、4月(27万8000戸)以来5カ月ぶりの高水準となり、全体を押し上げた。他方、建築中の新築住宅の販売件数は同2.7%減の33万戸となった。これは完成引き渡し前に建築資材コストが急増し、損失が広がるのを恐れ、建築業者が建築を遅らせたため。

 地域別の販売件数は、全体の約6割を占め、販売件数が最も多い最大市場の南部が前月比17.5%増(前年比11.7%減)の49万8000戸となり、3カ月連続で増加した。全体の約2割を占め、南部に続いて販売件数が多い西部は同8.2%増(同27.6%減)の19万7000戸にとどまった。北東部も同32.3%増(同7.9%増)の4万1000戸と急増したが、中西部は同1.5%減(34%減)の6万4000戸と、3カ月連続で減少した。

 住宅価格は中央値(季節調整前)で、前月比1.8%上昇の40万8800ドルと、3カ月連続で上昇し、過去最高値を記録した。前年比は18.7%上昇となった。販売価格帯をみると、40万ドル以上の高額物件の販売比率が55%と、8月の53%を上回った一方で、15万ドルから40万ドル未満の手ごろ物件の比率は8月の47%から45%に低下し、より高額物件にシフトした。

 住宅供給(在庫)をみると、9月の新築住宅在庫(着工前や建築中の住宅も含む、季節調整値)は前月比横ばい(前年比32.5%増)の37万9000戸となり、増加は5カ月連続で止まった。08年10月(38万1000戸)以来12年11カ月ぶりの高水準となっているが、これを9月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は5.7カ月相当(8月は6.5カ月分)と、5月(5.4カ月相当)以来4カ月ぶりの低水準となり、住宅建築業界が需要と供給のバランスが取れた容認可能な水準とする6カ月相当を下回った。

 住宅在庫のうち、すぐに販売できる完成戸数は在庫全体の9.5%(3万6000戸)と少なく、未着工件数も10万6000戸と、全体の28%を占め、供給不足感が依然強い。在庫全体でも住宅バブル期の在庫水準(45万戸)の84%の水準にとどまっている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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