株価下落時こそ「長期・積立」を再確認、リーマンショック時の対応で投資成果に差

投信

2021/12/3 7:45

 新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大や米金融政策の正常化前倒しに対する警戒感から、日経平均株価、NYダウともに約2カ月ぶりの安値水準に沈んでいる。先行きに不安を覚える投資家も多いことだろう。「毎月一定額で機械的に買い付けるため相場動向に一喜一憂しなくてもよい」ということが、積立投資のメリットの一つとしてよく挙げられる。確かにそうなのだが、株式市場における急落を目にすると不安に駆られるのは当然の心理でもある。積立投資において、相場急落時にも投資を継続した場合と、急落時の一定期間に投資を停止した場合の運用成績をシミュレーションした。

 シミュレーションは、日本を除く先進国の株式に、2006年12月から2021年11月までの過去15年間(180カ月間)、毎月2万円ずつ投資するものとし、全期間一貫して投資を継続した場合と、リーマンショックに襲われた2008年9月から1年間(2009年8月まで)投資を停止した場合で行った。日本を除く先進国の株式としては、モーニングスターカテゴリー「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」に属するファンドのリターンを指数化した「モーニングスターインデックス国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)(単純)」を用いた。

 投資を継続した場合の21年11月末時点の時価評価額は747万円となり、投資元本360万円に対して約2.1倍となった。投資を一時停止した場合の評価額は660万円で、投資元本336万円に対して96.7%増加した。両者の評価額の差は86万円(13.1%)。リーマンショック時にも積立投資を継続した場合と中断した場合には、投資成果に1割以上の差が生じたことになる。積立を継続した場合には、リーマンショック時に安値圏で購入口数を増やせたことが、後の相場の戻り局面における投資成果の拡大に繋がった。世界の株式が、これから先に急落することがあっても、長期的には経済成長を背景に上昇するものであれば、シミュレーションの収益の差は投資期間が伸びるほど拡大することになる。

 「オミクロン株」や「米金融正常化」に揺さぶられて、世界の株式が一段安となることも考えられる。さらなる不安に駆られることもあれば、毎月の投資が厳しくなることもあろう。とはいえ、積立を継続することの効果も捨てがたい。「長期・積立」を改めて意識し、無理のない範囲で積立投資を継続することを考えたい。

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ