米12月小売売上高、市場予想下回る前月比1.9%減―オミクロン株拡大とインフレ急加速で

経済

2022/1/17 9:14

<チェックポイント>

●13業種中10業種で減少―オンライン小売や家具、スポーツ・趣味が急減

●自動車・同部品とガソリンの減少が全体を押し下げ

●コア小売売上高は前月比3.1%減

 米商務省が14日発表した21年12月小売売上高(季節・営業日調整後)は前月比1.9%減の6268億ドルと、11月の同0.2%増(改定前0.3%増)から5カ月ぶりに減少に転じ、21年2月(2.9%減)以来10カ月ぶりの低い伸びとなった。市場予想(横ばい)も大きく下回り、サプライズとなった。一方、前年比では16.9%増と、11月(18.2%増)を下回ったものの、賃金上昇や高水準の貯蓄に支えられ、堅調を維持している。

 市場では、12月の落ち込みはオミクロン株の感染急拡大による規制強化で、消費が伸び悩んだことに加え、インフレ高進が持続し、生活費の負担が増えたことから買い控えが一段と強まったとみている。また、一部では11月と同様、年末商戦期を控えて消費者が深刻なサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)を懸念し、買い物を前倒しした影響が現れたとの見方も出ている。

 全13業種のうち、前月比で増加した業種は11月の10から3に減った一方で、減少した業種は11月の3から10に増えた。月ごとに変動が大きい自動車・同部品とガソリン販売を除くと、どのカテゴリーにも入らない「その他小売」が1.8%増(11月は0.7%増)と、最も大きい伸びとなり、次いで、ホームセンターなど建築資材・園芸が0.9%増(同2.2%増)、ヘルス(薬局・美容)が0.5%増(同0.9%増)となった。

 これとは対照的に、オンライン小売は8.7%減(11月は1.5%減)と、最も大きく落ち込んだ。次いで、家具・生活用具が5.5%減(同0.5%増)、スポーツ用品・趣味・楽曲・書籍は4.3%減(同2.1%増)、アパレルは3.1%減(同1.2%増)、電子機器・家電も2.9%減(同9.7%減)と、大きく落ち込んだ。百貨店やスーパーなどの量販店を含む一般小売販売は1.5%減(同1.2%減)となり、特に百貨店は7.0%減(同11月5.5%減)とさらに減少。グローサリーストア(食品雑貨店)を含む食品・飲料水販売は0.5%減(同0.4%増)、外食(レストラン・バー)は0.8%減(同0.6%増)となった。

 一方、月ごとに変動が大きい自動車・同部品を見ると、季節調整後で前月比0.4%減(11月は0.2%増)と、4カ月ぶりに減少に転じた。自動車・同部品だけを除いた小売売上高は同2.3%減(同0.1%増)となり、市場予想の同0.2%増を大幅に下回った。

 ガソリンスタンドも同0.7%減(11月は同2.2%増)と減少に転じた。ガソリン価格の低下に加え、オミクロン株拡大やインフレ加速による消費抑制が影響した。この結果、ガソリンスタンドを除いた小売売上高は同2%減(11月は横ばい)となり、ガソリンスタンドが全体の押し下げに影響した。自動車・同部品とガソリンを除いた小売売上高は同2.5%減(同0.1%減)だった。

 ガソリンスタンドと自動車・同部品に加え、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比3.1%減と、2月以来10カ月ぶりの大幅な減少となった。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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