米4月コアCPI、市場予想上回る前月比0.6%上昇―前年比は6.2%上昇

経済

2022/5/12 10:26

<チェックポイント>

●家賃や航空運賃含む輸送サービス、新車が全体押し上げ

●全体指数は前年比8.5%上昇―ガソリン価格の上昇が一服し、伸び率鈍化

●市場はインフレまだピークに達せずと判断―利上げ継続懸念強まる

 米労働省が11日発表した4月CPI(消費者物価指数)は、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除く)が前月比0.6%上昇と、3月の同0.3%上昇を上回り、3カ月ぶりに伸びが加速。市場予想の0.4%上昇も上回った。一方、前年比は6.2%上昇と、3月(6.5%上昇)を下回ったものの、市場予想(6.0%上昇)を上回った。

 前月比が予想を上回る高い伸びとなったのは、家賃や航空運賃を含む輸送サービスが高い伸びとなったため。航空運賃は18.6%上昇(3月は10.7%上昇)と、1963年の統計開始以降で最も高い伸びとなり、輸送サービス全体でも3.1%上昇(同2.0%上昇)と、急加速した。

 また、構成ウエートが大きい家賃やホテル宿泊料などのシェルター価格(家賃・宿泊費)も0.5%上昇(3月も0.5%上昇)も伸びが続いている。このうち、帰属家賃(OER、持ち家でも借家と同様に住宅サービスを受けているとして家賃で評価したもの)は0.5%上昇(同0.4%上昇)、賃貸住宅の家賃も0.6%上昇(同0.4%上昇)と伸びが加速した。ホテル宿泊料は2.0%上昇(同3.7%上昇)となっている。

 全体指数(季節調整後)は前月比0.3%上昇と、3月(1.2%上昇)から伸びが鈍化したが、市場予想(0.2%上昇)を上回った。伸びが鈍化したのは、月ごとに値動きの激しいエネルギー(主にガソリン)の上昇が一服したため。ただ、市場では5月に入り、ガソリン価格が上昇し始めているため、5月の全体指数は再び高い伸びに逆戻りすると見て警戒している。一方、前年比は8.3%上昇と、3月の8.5%上昇を下回ったものの、市場予想(8.1%上昇)を上回った。

 エネルギーは2.7%低下と、3月(11.00%上昇)を大幅に下回った。ガソリンが6.1%低下(3月は18.3%上昇)と下げに転じたことが大きい。暖房用の重油は2.7%上昇(同22.3%上昇)と伸びが鈍化した。都市ガス料金は3.1%上昇(同0.6%上昇)、電気料金は0.7%上昇(同2.2%上昇)となった。

 食品は0.9%上昇と、3月(1.0%上昇)を下回った。食品のうち、レストランなどで提供される外食価格は0.6%上昇と、3月(0.3%上昇)を上回ったが、自宅調理用の食品は1.0%上昇(3月は1.5%上昇)と伸びが鈍化した。

 市場では3月のコア指数が前月比で2カ月連続で伸びが鈍化したことから、インフレ圧力がピークに達した兆しと見ていた。ただ、4月は全体指数とコア指数がいずれも市場予想を上回る高い伸びとなったため、インフレはすぐにはピークに達しないとの見方を強め、FRBによる利上げサイクルが当分は続く可能性が高いとして、寄り付き前のニューヨーク市場では統計発表直後、ダウ工業株30種平均やS&P500指数の先物がいずれも急落した。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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