Ubicomが22年3月期決算を発表、戦略的投資や新卒採用投資をこなしながら過去最高益更新

株式

2022/5/13 9:02

 Ubicomホールディングス<3937.T>は12日大引け後、2022年3月期決算を発表した。

 連結売上高は47億2600万円(前期比12.6%増)、営業利益は10億3300万円(同12.4%増)、経常利益は10億5500万円(同20.3%増)、純利益は8億3200万円(同33.4%増)だった。確立した高収益モデルが効果を上げ、今後の成長戦略の実現に向けた戦略的投資、新卒採用投資をこなしながら増収増益を確保し、過去最高益を更新した。

 フィリピン子会社を活用してソリューション開発を手掛けるグローバル事業は、主要ピラー(主要)顧客からの売上とソリューションの旺盛な受注獲得が継続、下期(21年10-22年3月)より戦略的投資効果の回収フェーズに入り、下期においては前年同期比3割弱(約28%)の売上増収を達成した。また、公共関連企業をはじめとしたアライアンス型のラボ開発モデルをさらに強化するための「Ubicom開発パートナーシップ」、グローバルマーケットを見据えた「高単価ビジネスモデル」への移行加速を推進している。一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成とサブピラー化に向けた取り組みの強化を通じ、さらなる高収益モデルを構築するため、第3四半期(21年10-12月)からフィリピンの開発拠点における新卒採用(約70名)、新卒研修ACTIONを再開した。

 エンタープライズ事業部においては、日本における上流経験や積極的な人材投資を継続し、金融、公共のほか、IBM以外のプロジェクトの深耕を図った。また、中国ではオフィス拡張や人的投資が奏功し、既存の大手PCメーカーの取引拡大に加え、新規グローバルピラー候補顧客の獲得で売上損益が計画比5割以上増と大幅に伸びた。大手不動産テックなど、将来に向けたピラー化見込み顧客も順当に増えている。

 医療経営支援ソリューションのメディカル事業については、新商品の「Mighty Checker EX」や「MCクラウド」が寄与し、Mightyシリーズのパッケージ販売に関わるストック(医療機関導入数)は順調に拡大した。高収益サブスクリプション型ビジネスモデルを確立に加え、収益率の低い案件の絞り込み、価格政策の実行もあり、セグメント利益が大幅に改善し、営業利益率は57.0%となった。第4四半期(1-3月)においては売上高営業利益率が約60%を達成した。新型コロナ対策としてWebを活用した営業、サポートに移行しており、今後、さらなるダイレクトアカウント(直接販売)獲得を推進し、より一層の利益率向上に取り組む構えだ。

 加えて、保険会社向け新ソリューション「保険ナレッジプラットフォーム」は受注および横展開を推進し、収益化と複数の大手保険会社との実証実験を継続している。今後、Mightyシリーズに続く将来の新たなサブスク型の収益源の確立に向け、知財戦略を含めた積極的な投資を続ける予定だ。

 23年3月期は「Go Global戦略」推進のため、次世代ビジネスをけん引する若手エキスパート人材の強化を図る。また、フィリピンエンジニアの採用育成の強化、クラウド/DX/働き方改革に係る医療機関向け新ソリューション開発にも注力するとともに、積極的なM&A(企業の合併・買収)も実施する考えだ。

 通期業績予想は売上高54億4600万円(前期比15.2%増)、営業利益12億5400万円(同21.4%増)、経常利益12億7100万円(同20.5%増)、純利益9億2500万円(同11.2%増)で、連続最高益更新を見込んでいる。

 22年3月期下期以降を「第2成長フェーズ」と位置づけており、23年3月期においては戦略的投資効果の発現等による計画の上ブレを期待したい。

提供:モーニングスター社

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