米4月S&P/ケース・シラー住宅価格指数、前年比20.4%上昇―伸び減速の兆し

経済

2022/6/29 9:06

<チェックポイント>

●20都市圏、前月比で5カ月ぶり減速も前年比では過去最高

●指数担当者は「価格上昇は維持できない」と指摘

●上昇率トップはタンパの前年比35.8%上昇―20都市が2ケタ上昇

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が28日に発表した米4月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(季節調整前)は、一戸建て中古住宅の価格動向を示す総合指数である全米住宅価格指数が前月比2.1%上昇の300.85と、前月の2.6%上昇を下回り、伸びが減速した。季節要因を無視できる前年比も20.4%上昇と、前月の20.6%上昇を下回ったが、前月に次ぐ過去2番目の高い伸びとなった。

 市場が最も重視している主要20都市圏の価格指数(季節調整前)も、前月比2.3%上昇の312.55と、前月の3.1%上昇を下回り、伸びが5カ月ぶりに減速したが、前年比は21.2%上昇と、前月の21.1%上昇を上回り、5カ月連続で加速。市場予想も上回り、過去最高の伸びとなった。

 主要10都市圏の価格指数(季節調整前)は前月比2.2%上昇の324.38となり、前月の2.8%上昇を下回り、伸びが5カ月ぶりに減速した。ただ、前年比は19.7%上昇と、前月の19.5%上昇を上回り、5カ月連続で加速し、過去最高の伸びとなった。

 市場では、住宅ローン金利の上昇を受けて住宅購入の動きが鈍り、住宅価格の上昇ペースは鈍化すると予想している。S&P500指数を運営しているS&Pダウジョーンズ・インデックスのマネージング・ディレクター兼指数管理担当責任者であるクレイグ・ラザラ氏は、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げで住宅ローン金利が一段と上昇していることを踏まえ、「今後、マクロ経済環境(金利上昇)は異常な住宅価格の上昇を維持できない可能性がある」とし、今後は住宅価格が減速する可能性が高いと指摘した。

 都市別の前年比は、タンパが35.8%上昇と、最も高い伸びを示し、次いで、マイアミが33.3%上昇、フェニックスは31.3%上昇、ダラスは31.0%上昇と、4都市が30%台の高い伸びとなった。このほかでは、サンディエゴ、ラスベガス、シアトル、シャーロット、アトランタ、サンフランシスコ、デンバー、大サンゼルスが全国平均(20.4%上昇)を上回り、全都市が2ケタ台の伸びとなった。約半数の9都市が前月から伸びが加速している。ニューヨークは14.3%上昇だった。

 市場では全米住宅価格指数で見た22年の住宅価格は前月比で上昇は続くものの、伸びは鈍化するとみている。最近では住宅ローン金利が12年ぶりに5%を超え、6%近くに上昇しているため、中所得層のアフォーダビリティ(住宅取得能力)の低下で住宅販売が25%減少すると見られるほか、夏前に持ち家を売却する動きが加速すること、さらには、ここ数カ月、住宅販売件数が減少傾向にある。最新のフレディマック調査によると、22年の住宅価格は6.2%上昇と、21年の15.9%上昇を下回ると予想されている。

提供:モーニングスター社

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