米6月コアCPI、前月比0.7%上昇―市場予想上回る

経済

2022/7/14 12:24

<チェックポイント>

●家賃や輸送サービス、中古車、新車、アパレルが全体押し上げ

●全体指数は前年比9.1%上昇に加速―食品・ガソリン急騰で

●市場はFRBの7月会合で0.75か1.00ポイント利上げを予想

 米労働省が13日に発表した6月CPI(消費者物価指数)は、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除く)が前月比0.7%上昇と、前月の0.6%上昇を上回り、伸びが加速した。市場予想の0.6%上昇も上回った。

 サービス全体が高い伸びとなった。自動車修理が2。0%上昇、自動車保険料は1.9%上昇となった。航空運賃は前月が12.6%上昇と、急伸した反動で1.8%低下となったが、輸送サービス全体では2.1%上昇(5月は1.3%上昇)となった。

 CPIの構成ウエートの約3分の1を占めるシェルター価格(家賃・ホテル宿泊費)は0.6%上昇(前月も0.6%上昇)と、依然高い伸び。このうち、帰属家賃(OER)は0.7%上昇(同0.6%上昇)と、90年8月の0.7%上昇以来、31年10カ月ぶりの高い伸びとなった。賃貸住宅の家賃も0.8上昇(5月は0.6%上昇)と伸びが加速。一方、ホテル宿泊料は3.3%低下(同1.0%上昇)となった。

 このほか、中古車が1.6%上昇(前月は1.8%上昇)と2カ月連続で上昇。新車も0.7%上昇(同1.0%上昇)と前月からさらに伸びている。アパレルも0.8%上昇(同0.7%上昇)と2カ月連続で上昇。メディカルケアサービス(処方箋代や病院治療費)も0.7%上昇(同0.4%上昇)と伸びが加速した。

 コア指数の前年比は5.9%上昇と、前月の6.0%上昇や4月の6.2%上昇から3カ月連続で伸びが減速。21年12月の5.5%上昇以来、6カ月ぶりの低い伸びとなったが、市場予想の5.7%上昇を上回った。前年比で伸びが鈍化したことから、市場では今後、ベース効果で低めに出ると予想しているが、インフレは広範囲に及んでいることや、最近の統計では市場予想を上回る傾向があることから、インフレの高止まりが長期化する懸念を強めている。

 他方、全体指数(季節調整後)は前月比1.3%上昇と、前月の1.0%上昇から伸びが加速。市場予想の1.1%上昇も上回った。月毎に値動きの激しいエネルギー(主にガソリン)が急加速した。

 エネルギー全体では7.5%上昇と、5月の3.9%上昇から急加速。ガソリンが11.2%上昇(前月は4.1%上昇)と、急上昇したことが大きい。

 食品も1.0%上昇と、5月の1.2%上昇からさらに伸びた。食品のうち、レストランなどで提供された外食価格は0.9%上昇と、5月の0.7%上昇を上回り、伸びが加速したが、自宅調理用の食品は1.0%上昇(前月は1.4%上昇)にとどまった。

 全体指数の前年比は9.1%上昇となり、市場予想の8.8%上昇を上回った。

 主な内訳は食品が10.4%上昇と、81年2月(10.5%上昇)以来、41年4カ月ぶりの高い伸びとなった。エネルギーも41.6%上昇と、80年4月(43.5%上昇)以来42年2カ月ぶりの高い伸び。このうち、ガソリンは59.9%上昇と、80年3月(68.1%上昇)以来42年3カ月ぶりの高い伸びとなった。

 市場では、今回の6月統計でインフレがピークに達する可能性があると見ているが、住宅費などインフレの高止まりがしばらく続くとみており、FRBは7月会合で0.75ポイントか1.00ポイントの大幅利上げとなると予想している。

提供:モーニングスター社

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