<新興国eye>ロシア中銀、市場予想上回る1.50ポイント利下げを決定―追加利下げ示唆

新興国

2022/7/25 10:27

 ロシア中央銀行は22日の金融政策理事会で、最近の通貨ルーブル高(18年以来4年ぶり高水準)の進行を抑え、景気を支援するため、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利をいずれも1.50ポイント引き下げ、8.00%とすることを決めた。利下げ幅が市場予想(0.50ポイント)を上回り、サプライズとなった。

 中銀は追加利下げを決めたことについて、「現在のCPI(消費者物価指数)の上昇率は依然として低く、年間のインフレ率のさらなる減速に寄与している。家計や企業のインフレ期待は最近のインフレ低下と通貨ルーブル高によって大幅に低下し、21年春の水準に達した」とし、インフレとインフレ期待の低下を受け、大幅利下げを決めたとしている。

 今後の金融政策については、「金融政策決定は、物価目標に対するインフレとインフレ期待やロシア経済の変革の動向、さらには国内外の状況や金融市場の反応によってもたらされるリスクを考慮する」とし、その上で、「22年下期に主要金利の引き下げの必要性を検討する」と追加利下げを示唆した。

 ただ、中銀は、「経済とインフレの動きは財政政策の決定に大きく依存している」とした上で、「財政赤字が拡大した場合、インフレを24年に物価目標(4%上昇)に戻し、それを4%上昇近くに保つためには、金融引き締めが必要になる可能性がある」としている。

 中銀のエルビラ・ナビウリナ総裁は会合後の会見で、「ルーブルの大幅上昇は、物価の認識と家計の購買態度に影響を与えており、期待インフレ率は7月には10.8%上昇にまで落ち込み、21年3月以来の低い伸びとなった。企業の短期の物価上昇率の予想も低下し続け、21年春のレベルに戻った」と、物価圧力の低下が続いているとの認識を示している。ただ一方で、「消費者需要の増加の兆候はすでにいくつか現れている。製品やサービスの供給が限られる場合、需要主導のインフレが急加速する可能性もある」と警戒を緩めていない。

 6月のインフレ率は前年比15.9%上昇と、5月の同17.1%上昇や4月の同17.8%上昇を下回っている。

 インフレ見通しについては、「われわれの予測では、金融政策のスタンスを考えると、インフレ率は22年に12-15%上昇(前回会合時は14-17%上昇)、23年は5-7%上昇(同5-7%上昇)に鈍化。24年には物価目標の4%上昇に戻る」とし、22年のインフレ見通しを改善方向に修正した上で、23年と24年の見通しを据え置いた。

 景気見通しについては、22年GDP(国内総生産)見通しを4-6%減と、供給サイドの問題でマイナス成長となると予想。4月会合時点の8-10%減よりも減少幅が小さくなっており、改善方向に修正した。23年のGDP見通しについては前年の伸びの反動で1-4%減、24年は1.5-2.5%増になると予想している。

 政策金利の見通しについては、「22年の主要政策金利は平均で10.5-10.8%(前回会合時は10.8-11.4%)、23年は6.5-8.5%(同7-9%)、24年は6-7%(同6-7%)になる」と予想。ただ、7月22日以降、年末までの政策金利については7.4-8%(同8.5-9.5%)と、前回予想を引き下げている。

 次回の定例会合は9月16日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 WTI原油<1671.T>、ガス<1689.T>、原油<1690.T>、

 野村原油<1699.T>

提供:モーニングスター社

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