RBA、3会合連続で0.50ポイント利上げを決定―市場予想通り

経済

2022/8/2 17:41

<チェックポイント>

●金融正常化のため今後数カ月さらに利上げ―ロウRBA総裁

●22年末インフレを6.00%上昇から7.75%上昇に引き上げ―RBA見通し

●22年末時点の政策金利は3.00-3.50%―市場予想

 豪準備銀行(RBA、中銀)は2日の理事会で、インフレ加速を阻止し、金融政策を正常化するため、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を前回7月会合に続いて同率の0.50ポイント引き上げ、1.85%とすることを決めた。利上げ幅は市場予想通りで、16年4月(2%)以来約6年4カ月ぶりの高水準となった。

 また、資金吸収オペとして、市中銀行のRBAへの預入残高である為替決済(ES)バランス(銀行間決済口座)に適用される公定レートも同率引き上げ、1.75%とした。

 RBAのロウ総裁は会合後に発表した声明文で、前回会合時と同様、「インフレが長期的に物価目標に戻ることを確実にするために必要なことを行う」とした上で、「金融正常化に向けたプロセスとして、今後数カ月さらなる措置を講じる」と利上げ継続の考えを示した。

 市場ではインフレ圧力が短期的に高まり、雇用市場がタイトである可能性があるため、RBAは年末までに政策金利を約3.00%に引き上げると見ている。ただ、積極利上げを予想する一部タカ派は3.50%と予想している。

 RBAは22年4月まで16会合連続して現状維持を決めたが、5月会合で10年11月以来11年半ぶりに利上げ(0.25ポイント)に転換した。これで4会合連続の利上げとなり、3会合連続の0.50ポイントの大幅利上げはRBAの金融政策史上初めて。利上げ幅も計1.75ポイントに達し、94年以来28年ぶりの大幅利上げとなる。

 追加利上げを決めた根拠については、「インフレ上昇の多くは世界的な要因によって説明されるが、国内的な要因もその役割を果たしている」、「強い需要や逼迫した労働市場、経済の一部での生産能力の制約により、物価に広範な上昇圧力がかかっている。22年の洪水も一部の物価に影響を与えている」とした。

 また、ロウ総裁は、「インフレ率は22年後半にピークに達する」とし、短期的にはインフレ加速懸念があることを強調。今回の会合で、「インフレ率は22年末までに7.75%上昇でピークに達する」とし、前回会合時点の6.00%上昇の予想を引き上げている。

 国内景気の見通しについては、「経済は引き続き回復力があり、労働市場は以前よりもタイトになっている。6月の失業率はさらに低下し、約50年ぶり低水準の3.5%(5月は3.9%)となった。求人倍率や求人広告はいずれも極めて高水準で、失業率は今後、数カ月でさらに低下が予想される」とした上で、「今後、経済成長が鈍化するにつれて、失業率がいくらか上昇することが予想される」とし、利上げ継続による景気鈍化懸念も示した。

 ロウ総裁は、「豪州経済は22年も力強い成長が続くと予想されるが、成長ペースは鈍化している」と、初めて景気の鈍化を認めた。今後の成長率見通しについて、RBAは22年が3.25%増、23年と24年はいずれも1.75%増に鈍化すると予想している。

 今後の金融政策については、「経済を安定させながら、インフレ率を2-3%上昇の物価目標レンジに戻すことを最優先するが、このバランスを達成するための道筋は狭く、不確実性に覆われている」とした上で、「不確実性の原因の一つは家計支出だ。家計は物価と金利の上昇による圧力にさらされている」とし、景気の先行きに懸念を示した。

 ロウ総裁は、「適切な金融政策の決定にあたっては、これら(家計支出など)のさまざまな要因がどのようにバランスするかについて細心の注意を払う」、「将来の金利上昇の規模とタイミングは今後の最新データとインフレ、雇用市場の見通しによって決まる」とし、景気にも配慮しつつ、慎重な金融引き締めを続けたい考えを示している。

 政策金利は1.85%に達し、コロナ禍前の水準を超えたが、まだロウ総裁が指摘している2.50%の中立金利(インフレ圧力を高めることなく安定成長を可能にする短期金利の水準)の範囲内にあり、利上げ余地を残している。

 次回会合は9月6日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社

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