<新興国eye>前週のブラジル株、欧州経済の悪化懸念やペトロブラス急落を受け反落=BRICs市況

新興国

2022/9/5 9:37

 前週(8月29日-9月2日)のブラジル株式市場は2日のボベスパ指数が前日比0.42%高の11万0864.24、週間ベースでは8月26日終値比1.28%安と、反落した。年初来では5.76%高となっている。

 週明け29日は指数が反発。翌30日は反落し、31日まで続落した。1日は反発。

 週前半は、原油価格の上昇を受け、資源セクターが買われ、上げを主導した。通貨レアル高も好感された。ただ、前週末のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長のジャクソンホール講演での積極利上げ発言を受け、海外株安となったため、上値は重くなった。その後は、原油価格の下落を受け、国営石油大手ペトロブラスが急落し、下げを主導。同銘柄の株式投資判断の引き下げも嫌気された。米国の経済指標が強い内容となり、FRB(米連邦準備制度理事会)の大幅利上げの可能性が高まったことで、リスク回避の売りが強まった。

 週後半は、米国だけでなく、EU(欧州連合)でも大幅利上げ懸念が強まり、売りが広がった。ユーロ圏の8月のインフレ率が前年比9.1%上昇と、過去最高となったことが背景。ブラジル国内では7月までの3カ月間の失業率の平均が9.1%と、4月までの3カ月間の平均から1.4ポイント低下し、約7年ぶりの低水準となったが、市場では世界経済の先行き不透明感や国内経済のリセッション(景気失速)懸念があるとして反応薄だった。その後は、ブラジルの4ー6月期GDP伸び率が前期比1.2%増と、市場予想(同0.9%増)を上回ったことが好感され、買いが優勢となった。ただ、ユーロ圏経済の悪化懸念で上値は重くなった。

 週末2日は続伸。米8月雇用統計で雇用者数が31万5000人増と、前月を大幅に下回り、失業率も3.7%に上昇したことを受け、雇用のひっ迫が緩和し、インフレ圧力も緩和したことから、FRBによる大幅利上げ懸念がやや後退したことが好感され、買いが強まった。

 今週(5-9日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢を巡る米中関係、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、特に大統領選挙の動向が注目される。主な経済指標の発表予定は5日のS&Pグローバル8月総合PMI(購買担当者景気指数)や8日の8月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-DIインフレ指数(全国卸売物価指数)、9日の8月IPCA(拡大消費者物価指数)と8月自動車生産・販売など。7日は「独立記念日」の祝日で休場となる。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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