<新興国eye>トルコ8月CPI、前年比80.21%上昇に加速―24年ぶり高い伸びでも予想下回る

新興国

2022/9/7 9:11

 トルコ統計局が5日発表した8月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比80.21%上昇と、前月(7月)の同79.60%上昇や6月の同78.62%上昇から伸びが加速。依然として、98年9月(80.40%上昇)以来、約24年ぶりの高い伸びとなっている。ただ、市場予想(同81.65%上昇)を下回った。

 同国のCPI伸び率はコロナ禍の悪影響が強まった20年の5月はサプライチェーン(部品供給網)の寸断により、前年比11.39%上昇、6月も同12.62%上昇と、2カ月連続で加速。その後、コロナ禍が一服し、サプライチェーンが正常化したことを受け、7月は同11.76%上昇に鈍化したが、11月(同14.03%上昇)以降、伸びは再び加速傾向にある。今回の8月CPIは21年6月(同17.53%上昇)以降、14カ月連続の加速。

 最近ではウクライナ戦争の勃発(2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、インフレ率が急加速している。ただ、8月統計では食品・清涼飲料水が前年比90.25%上昇と、7月の同94.65%上昇から伸びが鈍化した。

 前月比は1.46%上昇と、前月の2.37%上昇や6月の4.95%上昇を下回り、2カ月連続で急減速。21年9月(1.25%上昇)以来、11カ月ぶりの低い伸びとなった。上昇圧力の緩和は5月以来となる。

 セクター別(前月比)では、ヘルス(薬局・美容)が7.01%上昇と、最も高く、次いで、教育が6.55%上昇、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは3.86%上昇、家具・生活用品は3.35%上昇、レクリエーション・文化は3.34%上昇、ホテル・カフェ・レストランは3.31%上昇、住宅(光熱費や修理費)は2.05%上昇、通信は1.91%上昇となり、全体の伸び(1.46%上昇)を上回った。

 このほか、アパレル・靴は1.28%上昇、食品・清涼飲料水の0.85%上昇、アルコール飲料・たばこは0.09%上昇となった。対照的に運輸が1.78%低下と、最も低い伸びとなっている。

 また、全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコアCPI(グループC)も前年比66.08%上昇と、前月の61.69%上昇を上回り、10カ月連続で伸びが加速した。

 セクター別の前年比(全体指数)では、運輸が116.87%上昇(前月は119.11%上昇)と、最も高い伸びとなったが、前月から伸びが鈍化。次いで、家具・生活用品が92.02%上昇(同88.35%上昇)、食品・清涼飲料水が90.25%上昇(同94.65%上昇)、アルコール飲料・たばこも82.49%上昇(同82.66%上昇)、ホテル・カフェ・レストランは80.95%上昇(同79.14%上昇)となり、全体の伸び(80.21%上昇)を上回った。

 このほか、住宅(光熱費や修理費)は71.82%上昇(同69.96%上昇)、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは71.19%上昇(同66.82%上昇)となった。対照的に、通信は27.05%上昇(同25.79%上昇)と、最も低い伸びとなった。

 トルコ中銀は7月28日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、22年末時点のインフレ見通しを60.4%上昇(前回4月調査時点で42.8%上昇)、23年末時点の見通しは19.2%上昇(同12.9%上昇)、24年末時点も8.8%上昇(同8.2%上昇)と予想。いずれも前回調査から引き上げている。インフレ率(全体指数)は今秋に約90%上昇と、ピークに達すると見ている。

 また、政府が4日に発表した23-25年の新中期3カ年経済計画では、インフレ率の見通しは22年末時点で65%上昇、23年末時点で24.9%上昇、24年末時点で13.8%上昇、25年末時点で9.9%上昇と予想している。

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 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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