米8月中古住宅販売件数、前月比0.4%減の年率480万戸―市場予想上回る

経済

2022/9/22 8:43

<チェックポイント>

●販売件数7カ月連続減少―住宅ローン金利の急上昇が大きく影響

●住宅供給(在庫)は前月比1.5%減

●住宅価格は前月比2.4%減少の38万9500ドル―依然高水準も2カ月連続で減少

 NAR(全米不動産業協会)が21日発表した8月中古住宅販売件数(季節調整済み)は前月比0.4%減の年率換算480万戸と、7月の同5.7%減(改定前は5.9%減)に続いて7カ月連続で減少した。コロナ禍を除くと、15年11月以来約7年ぶりの低水準となる。ただ、市場予想の470万戸は上回った。

 季節要因を無視できる前年比も19.9%減と、13カ月連続で前年水準を下回った。コロナ禍中の21年の販売件数(前年比8.5%増の612万戸)を21.6%(168万戸)も下回っている。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、8月の販売件数の減少について、「中古住宅市場は、FRB(連邦準備制度理事会)の金利政策の変更(利上げ)に最も敏感であり、最も直接的な影響を受けている。住宅販売の減少は今年の住宅ローン金利の上昇を反映している」とし、住宅ローン金利の急上昇と高水準の住宅価格が住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)を悪化させたと見ている。

 一方、住宅供給の過不足感を示す8月時点の未販売住宅(在庫)は、前月比1.5%減(前年比横ばい)の128万戸と、7月の4.0%増から6カ月ぶりに減少した。

 また、販売ペースで換算した在庫水準は3.2カ月分と、7月から変わっていない。適正水準とされる5-6カ月分を依然、大きく下回っている。

 住宅の販売ペースを見ると、販売物件が8月中に市場に残っていた期間は16日間と、7月(14日間)をやや上回ったが、1年前の17日間を下回り、過去最短に近くなっている。8月中に販売された物件のうち、全体の81%(7月は82%)が市場に出てから1カ月弱で販売されており、中古住宅の購入のための入札が激化しているため、すぐに売り切れる状況だ。

 地域別販売件数は、全体の4割以上を占め、最もウエートが大きい南部が前月比横ばい(前年比19.3%減)の213万戸。南部に次いで大きい西部は同1.1%増(同29%減)の88万戸となったが、3カ月連続で100万戸の大台を割り込んでいる。中西部は同3.3%減(同15.9%減)の116万戸。北東部は同1.6%増(同13.7%減)の63万戸だった。

 8月の住宅価格(中央値)は前月比2.4%低下の38万9500ドルと、2カ月連続で低下。前年比は7.7%上昇と、126カ月連続で前年水準を上回ったが、20年7月以来2年1カ月ぶりの低い伸びとなっている。主力の一戸建ては前年水準より7.6%高い39万6300ドル(前月比2.3%低下)。

 住宅価格が低下しないもう一つの要因として、格安なフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)物件やショートセールズ(フォークロージャー手続きに進む前の早い段階で債務者と債権者が協議して住宅を任意売却)物件などのディストレスト物件の供給が依然細っていることがある。8月のディストレスト物件の販売比率は約1%と、7月や1年前とほぼ変わっていない。

 一方、手ごろな価格帯の住宅供給不足と高水準の住宅価格を反映し、新規住宅取得者の比率は29%と、7月と1年前と変わっていない。

 住宅ローン金利はフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の30年固定金利の平均約定金利でみると、8月は5.22%と、7月の5.41%や6月の5.52%をやや下回ったが、09年6月以来13年ぶりの高水準。21年の平均2.96%を大きく上回り、住宅購入者に逆風が一段と強まっている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ