来週の東京外国為替市場見通し=日本の為替介入警戒、FOMC前に重要経済指標で金融引き締めペース探る
予想レンジ:1ドル=147円50銭-152円50銭
10月17-20日のドル・円は上昇した。週初17日、英国のハント新財務相が大規模減税策のほぼ全てを撤回すると表明しポンド買い・ドル売りが強まったが、ドルは円に対してはジリ高で推移した。18日、FRB(米連邦準備制度理事会)の積極金融引き締め観測から上昇が継続。19日、世界的なインフレ警戒感から米長期金利が上伸しドル・円を押し上げたが、1ドル=150円近辺では日本の通貨当局の為替介入も警戒され、上値を抑えられた。20日にドル・円は1990年以来約32年ぶりとなる1ドル=150円の大台乗せ。同日、英国のトラス首相の辞任表明で一時ポンド買い・ドル売りとなりドル・円に下押し圧力がかかったが、米長期金利が4.2%台の高水準で推移し、FRB高官のタカ派的発言も伝わり、切り返した。
日米金融政策の方向性の違いを背景に円安基調が続くが、フシ目の1ドル=150円を突破したことで日本の政府・日銀による円買い介入が強く警戒され、ポジションを大きく傾けづらい状況にある。仮に為替介入が実施されても効果は限定的と見ているが、マーケットの様子見ムードを強め、ドル・円の上昇ピッチを鈍らせる効果はありそうだ。10月27-28日には日銀金融政策決定会合が開催される。黒田東彦総裁は金融緩和を維持する姿勢を再三強調しており、日銀が金融緩和政策の修正に動くとは考えにくいが、黒田総裁の会見での発言に為替相場が敏感に反応を示す可能性もあるため注意したい。
米国では翌週11月1-2日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が迫り、FRB関係者の発言が控えられる中、米国の経済指標や企業決算を見定めながら米国の金融引き締めペースを慎重に探る相場展開となる。米10月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米7-9月期GDP(国内総生産)速報値、米9月個人所得・消費支出など重要経済指標の発表が予定され、米長期金利の反応とあわせて注視する必要がある。
ドル・円はチャート上で1ドル=155円も視野に入る中、その中間の1ドル=152.50円程度は射程内。一方、下方向では一目均衡表(10月20日基準)の転換線近辺の1ドル=147.50円がサポートラインとなる。
提供:モーニングスター社
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