【為替本日の注目点】ドル円146円台前半まで売られる

為替

サーチナ

2022/10/27 10:03

ひと目でわかる昨晩の動き

NY市場

 148円台前半で小動きだったドル円は夕方4時以降には下げ足を早め、NYでは米長期金利の低下を手掛かりに146円23銭まで売られる。ユーロドルは反発し9月13日以来となるパリティーを回復し、1.0088まで上昇。株式市場はまちまち。ダウは小幅ながら4日続伸するも、ナスダックとS&P500は反落。債券は続伸。長期金利は一時4%の大台を割り込んだが4%近辺で引ける。金と原油は続伸。

マーケット情報

9月新築住宅販売件数 → 60万3千戸 

ドル/円 146.23 ~ 147.35

ユーロ/ドル 0.9983 ~ 1.0088

ユーロ/円 146.94 ~ 147.62

NYダウ +2.37 → 31,839.11ドル

GOLD +11.20 → 1,669.20ドル

WTI +2.59 → 87.91ドル

米10年国債 -0.099 → 4.003%

本日の注目イベント

中 中国9月工業利益

独 独10月GFK消費者信頼調査

欧 ECB政策金利発表

欧 ラガルド・ECB総裁記者会見

米 新規失業保険申請件数

米 7-9月GDP(速報値)

米 9月耐久財受注

米 企業決算 → メルク、マクドナルド、コムキャスト、アップル、インテル

 ドル円は徐々に上値を重くし、NYでは146円23銭までドル売りが進みました。来週行われるFOMCでは0.75ポイントの利上げが確実で、市場の関心は12月会合での「利上げ幅」にフォーカスされていますが、ここで利上げ幅の縮小が議論されるのではないかといった見方がやや強まり、ドル円を押し下げています。NY株式市場では、昨日は目立った動きはなかったものの、前日までの主要3指数は3日連続で大幅に上昇し、「大底を打ったのでは」といった感触も得られるほどの上昇を見せました。債券市場でも先週は長期金利が一時15年ぶりとなる4.33%台まで上昇しましたが、昨日は4%を割り込む水準まで低下し、これがドル売りにつながっています。ユーロドルもドルが売られたことで1.0088までユーロ高が進み、約1カ月半ぶりの高値を付けています。

 米国のインフレがピークを付けたとの客観的なデータは未だ確認されてはいませんが、住宅市場ではすでに減速傾向が鮮明になっています。昨日発表された9月の一戸建て新築住宅販売件数は再び減少となりました。8月は「68.5万戸」と予想外の増加でしたが、9月は「60.3万戸」と減少に転じ、8月分も下方修正されています。FRBが急激な利上げを行ってきましたが、ここにきて「急激過ぎる」といった声も一部に出て来たようで、12月会合では「さすがに0.75ポイントの大幅利上げはないだろう」といった見方も徐々に増えてきているようです。昨日はカナダ中銀が追加利上げを行いましたが、利上げ幅は0.5ポイントと、市場予想を下回ったことも上記の見方に追い風となり米金利の急低下につながったようです。カナダ中銀はこれで、3会合連続で利上げを決めましたが、利上げ幅は1ポイントの大幅利上げに始まって、先月は0.75ポイント、そして今回は0.5ポイントと上げ幅を徐々に縮小させています。マックレム・カナダ中銀総裁は「引き締め局面は終わりを迎える。そこに近づきつつあるが、まだ到達していない」とのコメントを残しています。

 ブルームバーグは元財務官の篠原尚之氏とのインタビュー記事を昨日配信しました。同氏は2007年から2年間、現在市場介入の最前線で指揮を執っている神田財務官と同じ立場の職にあった人です。篠原氏はインタビューで、「為替介入は円安進行による物価への影響から、政治的にやらざるを得なかった」と述べ、一方円安につながる異次元金融緩和の下での円買い介入は、「マーケットから見るとものすごくちぐはぐ感がある」と指摘し、「金融緩和策や財政政策が一緒に動員できないと本当の効果はない」と語っています。日銀は本日から金融政策決定会合を開催し、明日その結果を発表しますが、今回も変更はないものと思われます。ただ、前回9月の会合後の黒田総裁の会見をきっかけに円安が急速に進み、24年ぶりとなる市場介入を誘発した経緯があるだけに、黒田氏の今回の会見は慎重な言い回しになるかもしれません。本日はECBの理事会があり、政策金利を0.75ポイント引き上げる予想です。2会合連続の大幅利上げの可能性が高く、これがユーロの支えになっている部分もあります。

 上述のように、12月のFOMCでの利上げ幅が焦点ですが、今後のデータ次第では再び大幅利上げ観測が強まる可能性もあり、相場はまだまだ波乱な動きを見せると予想されます。本日のドル円は145円~147円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm

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