【為替本日の注目点】ドル円140円台後半まで反発

為替

サーチナ

2022/11/15 9:52

ひと目でわかる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は急反発。先週末の138円台半ばから東京時間には139円台を回復し、欧州での140円台乗せを引き継ぎ、NYでは140円70銭までドルが買われる。ブレイナードFRB副議長の発言からFRBの金融引き締めが継続されるとの観測が強まる。ユーロドルは前日に続き堅調に推移。この日の高値は1.0359。株式市場は3指数が揃って下落。3指数とも小幅な下落だったが引けにかけて大きく下げる。ダウは211ドルの下げに。ブレイナードFRB副議長が利上げ停止には否定的な見方を示したことで債券は下落。長期金利は3.85%台へと上昇。金は3日続伸。原油価格は大幅に反落。

マーケット情報

ドル/円 139.66 ~ 140.70

ユーロ/ドル 1.0299 ~ 1.0359

ユーロ/円 144.24 ~ 145.25

NYダウ -211.16 → 33,536.70ドル

GOLD +7.50 → 1,776.90ドル

WTI -3.09 → 85.87ドル

米10年国債 +0.041 → 3.854%

本日の注目イベント

豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表

日 7-9月GDP(速報値)

日 9月鉱工業生産(確定値)

中 10月小売売上高

中 10月鉱工業生産

独 11月ZEW景気期待指数

欧 ユーロ圏7-9月期GDP(改定値)

欧 ユーロ圏9月貿易収支

英 ILO失業率(7―9月)

米 11月NY連銀製造業景況指数

米 10月生産者物価指数

米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

米 バー・FRB副議長、上院銀行委員会で証言

米 クック・FRB理事講演

米 トランプ前大統領、「大きな発表」(フロリダ州)

 およそ3年5カ月ぶりの対面での米中首脳会談がバリ島で行われました。会談に先立ち、両首脳は堅く握手をかわしましたが、バイデン氏はにこやかな笑顔を見せていた一方、習近平氏は終始硬い表情を崩さず対象的な印象でした。もっとも、習氏のこのような表情は今に始まったことではなく、先日の党大会の席でも同様で、ポーカーフェイスぶりは変わらないようです。会談は3時間にも及び、米中はロシアの核使用には反対であることで一致しました。台湾問題では議論の応酬があったものの、バイデン氏は、「中国側に台湾侵略の差し迫った意図があるとは考えない」と述べ、「新たな冷戦は必要ないと固く信じている」と一定の評価をしていました。一方習氏も「紛争や対立を防ぎ、平和的共存を達成することはお互いの基本的な利益にかなう。両国経済は深く相互に関わっており、いずれも発展における新たな課題を抱えている」と述べています。会談後の声明でホワイトハウスは、ブリンケン国務長官が中国を訪問することを明らかにしています。

 ドル円は昨日の早朝には138円台半ばで推移していましたが、徐々にドル高に振れ、東京市場では139円台後半まで上昇する場面がありました。その後の欧州市場でもドルが買われ、ドル円は140円80銭前後まで反発する場面もありました。NYでは140円台後半から徐々に売りが優勢となり再び139円台まで押し戻されましたが、やはり138円台までのドル売りはオーバーシュートだったのでしょうか。オーバーシュートは為替には付き物で、151円94銭までドル高が進んだことも同様にオーバーシュートで「行き過ぎ」だったのかもしれません。この先、相場はまだまだ落ち着きませんが、140円を中心にもみ合うことになるかもしれません。

 「FRBが利上げを停止するまでには、まだ道のりは長い」と発言したウォラーFRB理事に続いて、ブレイナードFRB副議長も14日ブルームバーグとのインタビューで、「恐らく利上げペース減速への移行が近く適切になるだろう」と発言した上で、「われわれは多くのことを行ってきたが、追加でしなければならないことがある。強調すべき真に重要なことはそれだ」と語っていました。この最後の部分が市場に影響を与えたとみられ、為替、株、債券の各市場は再び値を崩す動きになっています。またダラス連銀のローガン総裁もヒューストンで開かれた会合で同様に、「金融・経済情勢の展開をよりきちんとした形で評価できるよう、利上げペースを緩めることが近く適切になり得ると思うが、ペース減速が一段と緩和的な政策を意味すると受け止めるべきではないとも考えている」と述べ、市場の拙速な利上げ停止観測をけん制していました。これらFOMCメンバーの発言には驚きはなく、当然予想されたことです。今後も、次の確かなデータが出るまでは前のめりになる市場をけん制する発言が何度もあると、筆者は予想しています。(参照:11月14日付け、マーケット情報「今週のレンジ予想」)

 先週の米消費者物価指数(CPI)の発表を境に、市場の流れが変わってきました。ドル円はその直後の2日間で7円50銭以上も急落し、米長期金利も急低下しました。株式市場ではそれ以前にその予兆がありました。ダウは今月だけでも先週末時点では1000ドルを超える上昇を見せ、9月末の直近安値からは5000ドル以上(約17.5%)も上昇しています。多くの金融機関の専門家が「米株はまだ20%ほど下げる可能性が高い」との観測を発表していた中での急反発でした。ただ、まだ市場の先行きというか、FRBの金融政策の行方も不透明です。いずれ米国のインフレ率は鈍化して行くことは間違いないところだとは思いますが、その低下幅や、どの程度の時間をかけて低下するのかも不明です。低下の途中では揺り戻しもあるでしょう。また、2%の物価目標を達成する前に米景気がリセッション入りする可能性もないとは言えません。不確実な要因が多く存在する中で、為替も右往左往することになります。今年も残りひと月半となりました。最後の最後まで荒っぽい値動きが続くかもしれませんが、それは来年にも持ち越される可能性が高いと見ておくべきでしょう。

 本日のドル円は139円~141円程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

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