米10月中古住宅販売件数、前月比5.9%減の年率443万戸―市場予想上回る

経済

2022/11/21 8:05

<チェックポイント>

●住宅ローン金利の上昇を背景に全地域で減少

●依然として在庫不足―販売件数の抑制要因に

●NAR、住宅ローン金利の低下で販売件数は「近く底」と予想

 NAR(全米不動産業協会)が18日に発表した10月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は前月比5.9%減の年率換算443万戸と、9カ月連続で減少したが、市場予想の平均値である440万戸を上回った。前年比は28.4%減で15カ月連続の前年割れ。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「住宅ローン金利の上昇で潜在的な住宅購入希望者が市場から締め出されている。こうした状況は住宅価格が高騰している地域で特に顕著に現れている」とし、住宅ローン金利の急上昇と高水準の住宅価格が住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)を悪化させていると分析している。

 住宅供給の過不足感を示す10月時点の未販売住宅(在庫)は、前月比0.8%減の122万戸と3カ月連続で減少した。

 住宅の販売ペースを見ると、販売物件が10月中に市場に残っていた期間は21日間と、前月の19日間や1年前の18日間を上回った。また、10月中に販売された物件のうち、全体の64%が市場に出てから1カ月弱で販売されたが、9月の70%を下回り、すぐに売り切れる状況は前月に比べると緩和した。ただ、10月の販売ペースで換算した在庫水準は3.3カ月分と、相変わらず適正水準とされる5-6カ月分を大きく下回っており、在庫不足が販売件数を抑えている。

 地域別販売件数は、全体の4割以上を占め、最もウエートが大きい南部が前月比4.8%減の198万戸、南部に次いで大きい西部は同9.1%減の80万戸、中西部は同5.3%減の108万戸。北東部は同6.6%減の57万戸と、軒並み減少した。

 10月の住宅価格(中央値)は前月比1.1%低下の37万9100ドルと、4カ月連続で低下したが、前年比は6.6%上昇となり、128カ月連続で前年水準を上回った。ヤン氏は、「在庫がひっ迫しているため、一部では売却物件に対して購入希望が殺到している状況」とし、入札合戦が続いているため、住宅価格は手ごろな価格にまで下がりにくい状況だとしている。

 住宅ローン金利の上昇が住宅販売に打撃を与えており、住宅購入者のアフォーダビリティを圧迫している一方で、中古住宅の所有者(売り手)も買い替えが高額となるため売り出しを躊躇させているとの懸念が広がっている。ただ、ヤン氏は、「住宅ローン金利は11月中旬をピークに低下し始めており、住宅販売は近く底をつく可能性がある」と、潮目の変化を予想している。また、住宅ローン金利は10月のインフレ率の鈍化を受け、30年固定金利の平均約定金利が週間ベースで40年ぶりの大幅な低下を示しており、今後、長期国債の利回り低下が進めば、住宅ローン金利は5.5-5.8%に一段と低下すると見ている。

提供:モーニングスター社

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