FOMC議事録、多くの委員が利上げペースの減速を支持―急速な金融引き締めによるリスクを懸念

経済

2022/11/24 8:57

<チェックポイント>

●物価目標に戻すために必要な限度を超えるリスクが高まっていると指摘

●FRB事務局、「米経済は23年にリセッションになる可能性がある」

●「インフレ後退の具体的な兆候がみられるまで減速させるべきではない」との声も

 FRB(米連邦準備制度理事会)が23日に公表した11月1-2日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録では、多くの委員が将来の利上げペースについて、早い時期に減速させることが望ましいと判断していることが分かった。

 市場では、FOMCのメンバーが利上げペースについてどのような考えを持っているか注目しているが、今回の議事録では、「多くの委員は、金融政策が物価目標の達成に向けて制限的な領域に近づけば、(政策金利である)FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標の上昇ペースを遅くすることがすぐに適切になる可能性が高いと指摘した」としている。

 議事録では、一部の委員が「これまでの金融政策の引き締めにより、インフレ率を2%上昇の物価目標に戻すために必要な限度を超えるリスクが高まっている」と指摘。また、「急速な金融引き締めの継続が金融システムの不安定化や混乱のリスクを高めている」との超えもあり、利上げペースを遅らせることで最大雇用と物価安定という目標に向けた進ちょく状況を評価できるようになるとし、「複数の委員は利上げペースを緩めることにより、金融システムの不安定化リスクを軽減できる」と指摘している。FRB事務局の分析でも、米経済が23年に、リセッション(景気後退)となる可能性を指摘された。

 その一方で、インフレ圧力が大幅に後退しているという、より具体的な兆候が見られるまで利上げペースを減速させるべきではないとする委員も複数いた。

 利上げの最終的な金利水準(ピーク金利)については、「不確実性がある」とし、多くの委員が今後の経済指標に依存すると指摘した。ただ、一部の委員は、「インフレが収まる兆しはなく、需要と供給の不均衡が続いている」として、ピーク金利は従前の予想よりもやや高くなるとの見方を示している。

 市場はFRBによる利上げ幅について、次回12月13-14日の会合で、これまで4会合連続の0.75ポイントの大幅利上げから0.50ポイントに縮小すると予想。その上で、23年まで利上げが継続し、ピーク金利は23年までに5.00%になるとみている。ただ、ブラード米セントルイス連銀総裁は現在の政策金利の約2倍の7%まで引き上げられる可能性を指摘している。

 9月の会合で公表したFOMC経済予測によると、FF金利の見通しは22年に4.4%、23年に4.6%(同3.8%)でピークを迎えると予想。24年は3.9%、25年は2.9%としている。11月の会合で0.75ポイントの利上げを実施し、政策金利を3.75-4.00%としたため、9月の予測に則れば、次回12月13-14日の会合では0.5ポイント以上の利上げを実施するとみられる。

提供:モーニングスター社

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