<新興国eye>前週のブラジル株、米FRB議長の利上げ減速発言を受け3週ぶり続伸=BRICs市況

新興国

2022/12/5 9:28

 前週(11月28日-12月2日)のブラジル株式市場は2日のボベスパ指数が前日比0.9%高の11万1923.93、週間ベースでは11月25日終値比2.7%高と、続伸した。

 週明け28日は指数が下落。翌29日は反発した。30日は続伸。12月相場入りした1日は反落した。

 週前半は、サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会でブラジル戦が始まり、薄商いとなる中、海外株安が嫌気され、売りが強まった。また、原油価格の下落で資源セクターが軟調となり、下げを主導。さらにブラジルにとって重要な貿易相手国である中国でゼロコロナ政策に抗議する市民デモが各地で多発、警察当局との衝突が激化したことも売り材料となった。その後は、鉄鉱石と原油の相場上昇を受け、鉱山大手ヴァーレと国営石油大手ペトロブラスが急伸、相場全体を押し上げた。また、中国政府がゼロコロナ政策の運用を緩和する方針を示したことも好感され、地合いが改善した。

 週後半は、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が講演で、12月会合で利上げペースを減速させる考えを示したことが好感され、海外株高となり、ブラジル市場でも買いが優勢となった。また、通貨レアル高となったことや、10月失業率が8.3%と、9月の8.7%と市場予想(8.5%)を大きく下回ったことも支援材料となった。その後は、ブラジルの7-9月期GDP伸び率が前年比3.6%増と、前期の同3.2%増を上回ったものの、市場予想(同3.7%増)を下回ったことや、S&Pグローバル(旧IHSマークイット)のブラジル製造業PMI(購買担当者景気指数)が44.3と、前月の50.8から大幅に悪化したことが嫌気され、売りが広がった。

 週末2日は反発。米11月雇用統計が市場予想を上回る強い内容となり、FRBの利上げが長期化するとの懸念の一方で、利上げペースが調整(減速)されるとの思惑で買いが優勢となった。ただ、ルラ次期大統領がエイド・ブラジルの拡充計画(1世帯たり600レアルの追加助成金の支出)の規模縮小に難色を示したため、財政悪化懸念で上値が重くなった。

 今週(5-9日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢巡る米中関係、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、特にルラ大統領の経済政策、ブラジル中銀の金融政策決定会合(7日)も注目される。主な経済指標の発表予定は5日のS&Pグローバルのブラジル総合PMIや7日の11月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-DIインフレ指数(全国卸売物価指数)と11月自動車生産・販売額、8日の10月小売売上高、9日の11月IPCA(拡大消費者物価指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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