<飛翔期待のお宝株>世界的不況に備え、需要拡大期の内需株に注目――TAKARA

株式

2022/12/8 16:00

 金融庁は来年から大手企業に「人的資本」の開示を義務化する方針だ。上場企業約3800社が対象で、2023年3月期決算以降は有価証券報告書への関連事項の情報記載を求める。各社は早急に対応を始めなければならない。

―ヒトや環境、非財務情報の開示強化へ―

 さらに、国際的にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に沿った開示も求められている。日本では東京証券取引所がプライム市場の上場企業に対し、TCFDに関連する開示を求め、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も投資対象の選定基準にするという。

 非財務情報の記載に慣れていない企業は多く、トヨタ自動車<7203.T>やソニーグループ<6758.T>をはじめ多くの企業が準備に取り掛かっているものの、外部のコンサル会社に頼らざるを得ないケースも増えそうだ。

 そこで今回は、TAKARA & COMPANY<7921.T>を取り上げたい。同社は有報などの作成支援コンサルティングを手掛け、開示関係の取引社数は上場企業のうち約2000社に上る。

 人的資本、TCFDに関する企業の開示内容が増えるということは、開示文書のページ数が増えること、すなわち、同社の収益が伸びることを意味する。例えば、トヨタのサステナビリティー報告書の分量は膨大だ。

―英文ニーズも膨大、四半期任意化への懸念は杞憂―

 さらに、和文の開示文書のボリュームが増えると、それに応じて英訳の文章量も増える。プライム上場企業で英訳した有報を出しているのは、まだ13%程度にすぎない。今後、英訳の需要も拡大し続ける流れにあるため、収益がいっそう伸びる環境になりそうだ。

 また、東京プロマーケットへの上場案件も増加傾向にあることから、TAKARAは17年から同市場への上場審査を行うJ―Adviser業務を行っている。22年には日本M&Aセンターホールディングス(M&ACH)<2127.T>と業務提携し、上場支援周辺業務にも注力している。現在、青森銀行をはじめ、10行程度の地銀と提携している。

 金融庁が四半期決算短信の任意化を検討し始めたことから、市場では同社の需要鈍化を懸念し株価が調整局面にあるが、それは杞憂(きゆう)だろう。四半期ごとの決算短信を減らす企業は、投資家の信頼が得られなくなるからだ。現に英国では、14年に四半期開示の法的義務が廃止されたが、主要企業のほとんどが任意で開示を続けている。

 同社IR(投資家向け広報)によれば、前5月期に過去最高益を更新したこともあるせいか、機関投資家からの問い合わせやミーティングの件数が増加傾向にあり、良い感触を得ているようだ。

 株価は10月19日に年初来高値2239円を付けた後調整し、現在2000円台で推移するが、今期も連続で最高益を更新する見込みだ。今後、世界的な不況が意識される中、需要拡大期の内需株として年初来高値を大幅に超える展開を期待したい。

提供:モーニングスター社

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