<新興国eye>前週のブラジル株、歳出拡大法案の上院通過や通貨安を受け3週ぶり反落=BRICs市況

新興国

2022/12/12 9:06

 前週(5-9日)のブラジル株式市場は9日のボベスパ指数が前日比0.25%高の10万7519.56、週間ベースでは2日終値比3.90%安と、3週ぶりに反落した。

 週明け5日は指数が急反落。翌6日は反発した。7日は再び反落。8日も続落した。

 週前半は、サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会が続き、薄商いとなる中、欧米株安に加え、通貨レアル安の進行が嫌気され、売りが優勢となった。また、11月S&Pグローバル・ブラジル製造業PMI(購買担当者景気指数)が44.3と、前月の50.8を大幅に下回ったことも売り材料となった。その後は、レアル高に転じたことや、中国が新たに複数の都市でコロナ規制を緩和し、ゼロコロナ政策を事実上、緩和する動きを強めたことが好感され、買い戻しが活発化した。ただ、エイド・ブラジルの拡充計画(1世帯たり600レアルの追加助成金の支出)を実現するため、歳出上限を1450億レアル引き上げる憲法補足法(PEC)改正法案が上院憲政委員会で承認されたため、財政悪化懸念が強まり、上値が抑えられた。

 週後半は、世界景気後退懸念が強まったことに加え、中国の11月貿易統計で輸出と輸入の伸びが市場予想を上回る大幅減少となったことが嫌気され、売りが優勢となった。その後は、PEC改正法案が修正されたものの、上院で可決されたため、財政悪化懸念が広がり、一段と売りが強まった。その一方で、ブラジル中銀の金利据え置き決定や、中国のコロナ規制緩和の新措置発表が好感された。

 週末9日は3日ぶりに小反発。ルラ次期政権の財務相にフェルナンド・ハダド元サンパウロ市長が正式決定し、財政悪化懸念が強まったものの、指数の構成ウエートが大きい鉱山大手ヴァーレが急伸し、相場を押し上げた。また、11月IPCA(拡大消費者物価指数)が前月比0.41%上昇と、前月の同0.59%上昇や市場予想(0.52ー0.53%上昇)を下回ったことも好感された。

 今週(12-16日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢巡る米中関係、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、特にルラ次期大統領の経済政策、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策決定会合(14日)も注目される。主な経済指標の発表予定は13日の10月サービス業成長率や14日の10月IBCーBr経済活動指数、15日の12月IGP-10インフレ指数(11月11日-12月10日まで物価変動指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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