【為替本日の注目点】米11月のCPI7.1%に低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
アジア市場から137円台半ばで推移していたドル円はCPI発表直後に急落。一時は134円66銭前後まで売られたが、135円台を回復して取引を終える。CPI発表を受け、ドル安ユーロ高が進む。ユーロは1.067辺りまで上昇し、6月9日以来となるユーロ高を記録。11月のCPIが市場予想を下回ったことを受け株価は朝方から大きく上昇。ダウは一時700ドルを超える上昇を見せたがその後失速。結局、103ドル高で取引を終え、他の2指数も同様な動きに。債券価格は大幅に上昇。長期金利は3.5%台に低下。ドルが売られたことから金は大幅に上昇。原油も続伸し、75ドル台を回復。
マーケット情報
11月総合消費者物価指数 → 7.1%(前年同月比)
11月コア消費者物価指数 → 6.0%(前年同月比)
ドル/円 134.66 ~ 137.41
ユーロ/ドル 1.0540 ~ 1.0673
ユーロ/円 143.45 ~ 145.02
NYダウ +103.60 → 34,108.84ドル
GOLD +33.20 → 1,825.50ドル
WTI +2.22 → 75.39ドル
米10年国債 -0.110 → 3.501%
本日の注目イベント
日 10-12月期日銀短観
日 10月鉱工業生産(確定値)
欧 ユーロ圏10月鉱工業生産
英 11月消費者物価指数
米 11月輸入物価指数
米 11月輸出物価指数
米 FOMC 政策金利発表
米 パウエル議長記者会見
注目された米国の11月の消費者物価指数(CPI)でしたが、結果は総合で「7.1%」、コアで「6.0%」と、いずれも市場予想を下回り、これで、5カ月連続で物価上昇の伸びが鈍化したことになります。(いずれも前年同月比)総合CPIでは食品価格が上昇した一方で、ガソリン価格を中心としたエネルギー価格が大きく下落したことが影響しています。FRBの物価上昇目標である「2%」からは依然として大きく乖離してはいるものの、米国のインフレは今年6月をピークに和らぎつつあることは確実で、市場の一部には「コアインフレが減速を示したが、セクションを超えて広く見られる米国のデータと整合する。つまり、米国のインフレは過去の問題となった可能性が高いということだ」(ブルームバーグ)といった声も聞かれました。
予想を下回るCPIの結果を受けて、ドル円は急落。発表前は136円台後半で推移していたドル円は一気に135円台を割り込み、一時は134円66銭前後までドル売りが進みました。FRBによる「利上げの長期化観測」が後退し、株と債券が買われ、ダウは一時700ドルを超える上昇を見せました。債券価格が急騰したことで、長期金利が低下し、これがドル円を押し下げています。ユーロドルでもドル安ユーロ高が進みましたが、円の上昇が突出しており、このようなケースでは「円全面高」の様相が良く見られます。
今年最後のFOMC会合は昨日から始まっており、当然今回の結果も加味されます。利上げ幅は0.5ポイントで動かないものと思われますが、予想を下回るCPIの結果に、一段の引き締めペースの減速とその後の政策金利維持を主張する「ハト派」の声が強まる可能性があります。また、ブラード・セントルイス連銀総裁のような「タカ派」メンバーのトーンがどこまで減速するのかにも注目です。結局、これでパウエル議長の発言がますます注目されることになり、来年以降の金融政策を予想する上でのヒントを探ることになります。今回の様なペースでインフレ率が鈍化するのであれば、来年の早い時期に利上げが停止され、その後しばらくその水準が維持される可能性もありそうです。一方で議長は、前のめりになりがちな市場のセンチメントをけん制するような、依然として慎重な言葉を選んでくるかもしれません。昨日のNYの朝方では、為替も株も一気に「インフレの終焉」を織り込むような動きを見せましたが、その後は徐々に修正するような動きになりました。この辺りも、パウエル議長の慎重な発言を想定した動きと捉えることができるかもしれません。どちらにしても今夜も、ドル円は大きく動く可能性が高いと予想されます。慎重な対応をお願いしたいと思います。
本日のドル円は134円~137円程度でしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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