【為替本日の注目点】中国の規制緩和を受け、世界的に債券が売られる

為替

サーチナ

2022/12/28 10:20

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 東京時間には132円台後半まで売られたドル円は、欧州市場では終始133円台で推移。NYに入ると、米長期金利の上昇に133円60銭までドルが買われ、1週間ぶりの高値に。ユーロドルでもドル高が進んだが、1.0612前後でとどまる。株式市場はまちまち。ダウは小幅高ながら、ナスダックはアップルなどハイテク株が中国情勢を背景に売られ、144ポイント下落。債券は大幅続落。中国のコロナ規制緩和がインフレを加速させるとの見方から債券が売られ、長期金利は3.84%台まで上昇。金は上昇し、原油はほぼ横ばい。

マーケット情報

10月FHFA住宅価格指数 → 0.0%

10月ケース・シラ-住宅価格指数 → 8.64%

ドル/円 133.18 ~ 133.60

ユーロ/ドル 1.0612 ~ 1.0660

ユーロ/円 141.56 ~ 142.20

NYダウ +37.63 → 33,241.56ドル

GOLD +18.90 → 1,823.10ドル

WTI -0.03 → 79.53ドル

米10年国債 +0.094 → 3.841%

本日の注目イベント

日 11月鉱工業生産

日 日銀金融政策決定会合における主な意見(12月19、20日分)

米 11月中古住宅販売成約件数

 131円台後半から132円台で推移していたドル円は、1週間ぶりに133円台半ばまで上昇し、131-133円の狭いレンジ内の上限を試す動きになってきました。昨日は薄商いの中、中国のコロナ規制緩和がインフレをあおるとの懸念が高まり、世界的に安全資産の債券が売られました。米国債も大きく売られ、金利が上昇したことでドルが買い戻され、ドル円は133円60銭を付けています。欧州債の下げがきつく、特にドイツ国債が売られています。ブルームバーグは「良いニュースは悪いニュースといった屈折した世界がなお続いている」との投資家のコメントを紹介しています。

 中国では新型コロナ感染が拡大しているにもかかわらず、国民の大抗議デモの影響もあり、これまでかたくなに進めてきた「ゼロコロナ政策」を一気に解除しました。中国での感染者数の桁違いの拡大は、今週月曜日の「今日のアナリストレポート」で紹介した通りですが、感染者数の拡大は中国に製造拠点を置く、アップルなどハイテク株の売りにもつながっており、これがナスダック全体のセンチメントを悪化させている側面もあります。今朝の報道では、何かと話題の多いイーロン・マスク氏創業の「テスラ株」は7営業日続落し、今年の下落幅は67%にも達したようです。これにより、2020年12月にS&P500株価指数に採用されてから維持してきた「時価総額上位10社」からも外れたと報じられています。ここでも、「山高ければ、谷深し」といったところでしょうか。今年4月に「402.667ドル」の最高値を記録したテスラ株は昨日、「108.76ドル」で引けています。

 ロシアのラブロフ外相は国営タス通信のインタビューで、「ウクライナは降伏する必要がある。さもなくば、戦争は継続する」と述べています。ラブロフ氏は、ロシアが戦争を開始したのはウクライナの「非ナチ化と、非軍事化」が目的だと、根拠のない主張を繰り返し、「クレムリンの目標を、敵はよく分かっている」とし、「ロシアの目標を達成させた方が、身のためだ。さもなければ、この問題はロシア軍によって決定されることになる」と、恫喝とも思える発言を行いました。ウクライナのゼンレンスキー大統領は、断固としてこれを受け入れる意志はなく、戦争終結への道筋は全く見えてきません。先週末、クリスマスを迎えたウクライナの高官は、「We wish your merry Christmas」という言葉に替えて、「Christmas in coming. We wish we make on that day will come true 」という言葉を投稿していたのが印象的でした。ウクライナに平和なクリスマスは来なかったのです。

 ECBのデギンドス副総裁はスペインでのインタビューで、「ユーロ圏は非常に厳しい経済状況に直面している」と述べ、「個人も企業も賢明な姿勢になり長期的視点に焦点を絞ることが非常に重要だ」と語っています。ユーロ圏ではロシアのウクライナ侵攻に伴う同国からの天然ガス供給ストップの影響もあり、「高インフレと景気減速、さらには低成長」が続き、三重苦に見舞われているとしています。またデギンドス氏は2023年について、「短く浅いリセッションに見舞われた後、4-6月期(第2四半期)には再びプラス成長になる」との見方を示しています。

 ドル円は133円台半ばまで値を戻したことで、円高に対する過度の警戒感もやや後退しています。短期的な動きを示す「1時間足」でも、先週23日夕方に132円台半ばを超えた辺りから「一目均衡表の雲」を上回った状態が続いています。先週の「黒田ショック」を境に、急速に円高予想が高まり、1週間が経過しましたが、130円割れを試す動きにはなっていません。ただ、130円割れを試すという見方は、筆者を含め多くの市場関係者がなお維持していると思われます。今週末から日本が年末年始の休みに入ります。参加者が減少する中、相場は乱高下しやすい状況になるため、ポジション管理には十分注意が必要です。

 本日のドル円は132円50銭~134円30銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm

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