<年末年始特集>2023年も重要イベント目白押し―WBC、日銀新総裁、COP28(2)

株式

2022/12/30 16:09

(1)からつづく

―日銀は金融緩和修正、次期総裁は誰に―

 一方、4月には日本銀行の黒田東彦総裁が任期満了を迎える。岸田文雄首相は「4月の段階で最もふさわしい方を任命する」と明言するが、日銀は19日、20日の金融政策決定会合で、事前予想に反してYCC(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化措置を決めた。新たな日銀総裁に加え、23年1月、3月の金融政策決定会合にも注目が集まる。

 日銀は12月の金融政策決定会合において、従来0.25%程度としてきた長期金利(新発10年国債利回り)の変動許容幅を0.5%に拡大した。一部では事実上の利上げとの指摘も出るなど、突然の修正は株式や国債、為替市場に大きな影響をもたらした。黒田総裁の退任を控えて金融政策の正常化に向けた「地ならし」の動きとの声も出ており、1月、3月の会合でも思惑が先行して株式市場が波乱の展開となる可能性もある。

 総裁人事も注目の的だ。現在候補として名前が挙がるのは、雨宮正佳・日銀副総裁と前日銀副総裁の中曽宏氏だ。ただ、元副総裁の山口廣秀氏の名前も取りざたされ、日本総合研究所の翁百合理事長も浮上する。23年1月召集の通常国会において候補者が提示されるとの見方が強く、候補次第では株式市場も影響を受ける。

 いずれにせよ、4月以降は新たな日銀総裁のもと、金融緩和の正常化に向けた議論が進むことは間違いのないところ。既に、金利上昇に伴う利ザヤ改善期待から、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>やみずほフィナンシャルグループ<8411.T>、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>のほか、三井住友トラスト・ホールディングス<8309.T>が上昇に転じているが、地銀なども引き続き注目が向かう。

―COP28は中東UAEで開催―

 23年後半の注目イベントは、11月から12月に掛けて開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)。開催国のUAE(アラブ首長国連邦)は再生エネルギーや水素製造などの脱炭素への取り組みを進めている。

 22年はロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高や天然ガスや原油の高騰が関心を集めた一方で、環境対策にはそれほどスポットが当たらなかった。ただ、日本政府も脱炭素社会の実現に向けGX(グリーントランスフォーメーション)に150兆円を投資する方針を打ち出している。23年には、環境対策や脱炭素に関心が戻る可能性がある。

 中東で進む環境対策では、廃プラスチックからの水素製造に取り組む日揮ホールディングス<1963.T>や水素コンプレッサを手掛ける荏原製作所<6361.T>、二酸化炭素の資源化に取り組む東洋エンジニアリング<6330.T>などを押さえておきたい。

提供:モーニングスター社

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