【為替本日の注目点】ドル円130円台半ばまで上昇後反落

為替

サーチナ

2023/1/23 10:02

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は欧州市場でのドル高の流れを受け朝方に130円62銭の高値を付けたがその後反落。黒田総裁のダボス会議での発言が重しとなり、129円45銭まで売られる。ユーロドルは引き続き堅調に推移。次回会合で0.5~0.75ポイントの利上げ観測が支えに。株式市場は3指数が揃って大幅高に。大きく売られたダウは330ドル上昇し、ナスダックも大幅高に。債券は続落。長期金利は3.47%台に上昇。金と原油は続伸。

マーケット情報

12月中古住宅販売件数 → 402万件

ドル/円 129.45 ~ 130.62

ユーロ/ドル 1.0803 ~ 1.0858

ユーロ/円 140.46 ~ 141.20

NYダウ +330.93 → 33,375.49ドル

GOLD +4.30 → 1,928.20ドル

WTI +0.98 → 81.31ドル

米10年国債 +0.088 → 3.479%

本日の注目イベント

日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(12月19日、20日分)

欧 ユーロ圏1月消費者信頼感指数(速報値)

欧 ラガルド・ECB総裁講演

米 12月景気先行総合指数

 ドル円はNY市場の朝方には130円62銭まで上昇しましたが、その後は129円台半ばまで押し戻されています。先週水曜日には3.3%台まで低下した米長期金利が3.47%台まで上昇したものの、ダボス会議でパネル討論会に出席した黒田総裁が、持続的なインフレを実現するために金融緩和を続ける自身の決意は揺るぐことはないとの考えを示したことで、日銀の政策変更観測が後退し、ドル売りにつながっています。先週末に発表された日本の12月の全国CPIは「4.0%」と、先行して発表されていた東京都の同指数と一致し、1981年以来、実に41年ぶりの高水準でした。それでも日銀は春以降には1.5%程度に向ってインフレ率は減速するとの見方を変えておらず、金融緩和姿勢を維持しています。岸田首相は昨日のテレビ番組で総裁人事に触れ、「新総裁は4月時点の経済状況をしっかり考えた上で誰がふさわしいかをこれから判断していかなければならない。まずは人選。人は代わる」と述べ、新総裁人事を進めていることを明らかにしています。黒田総裁の任期は4月8日に満了を迎えます。

 FRBのウォラー理事は今月31日―2月1日に開催されるFOMCでは利上げ幅を再度縮小することを支持する考えを示しました。ウォラー理事はNYでの講演で、「現時点においては、今月末の次回FOMC会合では25ベーシス・ポイントの利上げを支持する」と発言し、「それ以降については、当局の2%インフレ目標に向け、まだかなりの道のりがある。金融引き締めの継続を支持する見通しだ」と話しています。(ブルームバーグ)すでに多くのFOMCメンバーが「さらなる利上げペースの縮小」に言及しており、次回FOMCでの利上げ幅は「0.25ポイントで当確」といったところでしょう。こうなると焦点は、パウエル議長の会見での発言に集まります。ここで議長が、今後のインフレ率の低下傾向に楽観的な考えを示すのかどうかという点が鍵になります。昨年6月には「9.1%」まで上昇した米CPIは12月には「6.5%」まで低下してきました。急激な利上げに、景気抑制効果が確実に出てきているとみられますが、それでもまだFRBの物価目標の3倍以上にあたるインフレ率です。パウエル議長が楽観的な見通しを示す可能性は低いとみています。

 中国の春節が始まり、この間に21億人の人口が移動すると言われていますが、中国疾病予防コントロールセンターは21日、春節連休を控えた今月13-19日に、医療機関で新型コロナウイルス感染症に関連した死者が1万2658人に上ったと発表しました。また、同センターの疫学主席専門家の、呉尊友氏によれば、今回の感染拡大で全人口の約80%がコロナに感染したとの見方を示しています。中国の昨年末の人口は約14億1000万人であることから、80%が感染したとすれば、11億人余りが感染した計算になり、膨大な数になります。呉氏は、「春節連休の移動で一部地域では感染が増える可能性があるが、今後2、3カ月で全国的に大規模感染や第2波感染が起きる可能性は極めて低い」と指摘しています。

 現時点では最新鋭といわれているドイツ製戦車「レオパルト2」のウクライナへの供与を巡り、ドイツのピストリウス国防相は、「NATO同盟国と合意できれば速やかに動くことは可能だ」と述べていますが、ドイツ国内にはNATOとロシアの全面戦争となる可能性のある事態は避けるべきとの意見も強く、結論は出ていません。一方ウクライナの国防相は、同国の軍がレオパルト2の訓練を近くポーランドで受けることを発表し、「大きな前進だ」と語っています。リトアニア、ラトビア、エストニアのバルト3国はドイツに対し、レオパルト2のウクライナへの供与を呼びかけており、「ドイツには欧州の大国として、この件に関して特別な責任がある」と、リトアニアの外相は述べています。マスコミは「ウクライナ情勢は新たな段階に入った」と伝えており、侵攻1年を前に空中戦から地上戦に移る可能性を指摘しています。

 本日のドル円は128円50銭~130円50銭程度を予想します。今週は米企業の決算発表が本格化し、週末にはPCEデータが発表されます。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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