Ubicomが23年3月期の第3四半期累計決算を発表、売上高・営業・経常利益は過去最高

株式

2023/2/10 9:22

 Ubicomホールディングス<3937.T>は9日大引け後、2023年3月期の第3四半期累計(22年4-12月)決算を発表した。

 連結売上高は39億1000万円(前年同期比13.3%増)、営業利益は7億3300万円(同4.9%増)、経常利益は7億4600万円(同4.5%増)、純利益は4億1300万円(同20.7%減)だった。経済安全保障推進法を背景に、グローバルな供給網のリスクやIT業界におけるセキュリティーや知財に係る取り組みが強化されるなか、Ubicom創業以来の引き合いが急増。第4四半期より本格化する大型開発需要に加え、第2成長フェーズに向けた投資(通期計画に織り込み済み)をこなしながら、売上高、営業利益、経常利益は第3四半期累計の段階において過去最高を更新した。一方、時価が著しく下落した投資有価証券の評価損を特別損失として計上した。

 フィリピン子会社を活用してソリューション開発を手掛けるグローバル事業は、ピラー(主要)顧客、新規顧客(グローバル製薬企業)からの旺盛な受注を獲得し、前年同期比約20%の増収を達成した。オフショア・オンサイト開発を活用し、顧客のピラー化、案件の高収益化を実現している。また、アライアンス型のラボ開発モデルをさらに強化するため、国内における「Ubicom開発パートナーシップ」を推進。エンタープライズ事業部においては、大手不動産テックのプロジェクトが順調に拡大中。さらに、第3四半期(22年10-12月)から価格政策に加えて、為替を含めた外部環境の変化に向けた対応も進めている。

 医療経営支援ソリューションのメディカル事業については、次世代レセプトチェックシステム「Mighty Checker EX」や「MCクラウド」の導入数が堅調に推移している。高収益サブスクモデルの確立とソリューションの重ね売りなどからセグメント利益が大幅に伸長し、営業利益率は58.6%と過去最高水準の高収益性を継続した。さらに、医師の働き方改革に資する戦略的ソリューション、「新Mighty QUBE Hybrid」が22年10月に本格ローンチし、公的医療病院グループをはじめ多数の受注を獲得している。

 保険会社向け新ソリューション「保険ナレッジプラットフォーム」については、収益化と複数の大手保険会社との実証実験を順調に継続し、受注および横展開を推進している。現在は7社と商談中で、そのうち3社は23年度中の導入に向けたPoC(実現可能性や効果性の検証)検証を進めており、23年度より盤石なSaaS収益を見込んでいる。

 今後も引き続き欧米イスラエル先端テクノロジー企業へのマーケティング強化に代表される「Go Global戦略」に基づくグローバル展開、AI関連ビジネスの推進のため、次世代ビジネスをけん引する若手エキスパート人材やフィリピンエンジニアの採用育成の強化、メディカル投資戦略の拡充に取り組む。更には欧米を含めた顧客やニアショア・オフショアにおける人的シナジーが見込まれる企業、プラットフォーマーになりうるパッケージソリューションなどを有する企業などに対し、積極的なM&A(企業の合併・買収)も実施する考えだ。

 通期業績は期初予想を据え置き、売上高54億4600万円(前期比15.2%増)、営業利益12億5400万円(同21.4%増)、経常利益12億7100万円(同20.5%増)、純利益9億2500万円(同11.2%増)で、連続最高益更新を見込んでいる。同社は22年3月期下期以降を「第2成長フェーズ」と位置づけている。23年3月期においては戦略的投資効果の発現などによる計画の上ブレが期待されよう。

提供:モーニングスター社

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