<新興国eye>前週のブラジル株、中銀のタカ派寄りの議事録や通貨レアル安を受け続落=BRICs市況

新興国

2023/2/13 9:05

 前週(6-10日)のブラジル株式市場は10日のボベスパ指数が前日比0.06%高の10万8078.27、週間ベースでは3日終値比0.41%安と、続落した。

 週明け6日は指数が反発。翌7日は反落した。8日は反発。9日は反落した。

 週前半は、前週の相場下落を受け、安値拾いや値ごろ感による買い戻しが活発化した。原油価格の上昇を受け、資源セクターが買われ、相場をけん引。ただ、中銀の議事録が公表され、タカ派(インフレ重視の強硬派)スタンスが強まったことや、米利上げ継続の懸念が高まったため、上値は重くなった。その後は、通貨レアル安の進行が嫌気され、売りが優勢。また、ルラ政権下での財政支出拡大による財政赤字拡大懸念も売り材料となった。

 週後半は、金融大手イタウ・ウニバンコが22年10-12月期決算で大幅増益となったことが好感され、急伸し相場をけん引。その後は、中銀の26年の物価目標の引き上げにより、金利水準の低下を目指すルラ政権と中銀の対立が懸念され、売りが優勢となった。23年の物価目標はすでに3.25%、24-25年は3%に設定されているが、インフレを物価目標に収束させるため、政策金利は現在、13.75%と、6年超ぶりの高水準に維持されているため、ルラ政権は景気後退懸念を強めている。このため、政府は26年の物価目標を高目に設定することで、金利水準の低下を促したい考え。

 週末10日は小反発。売り買いが交錯する中、プラス圏で引けた。ただ、26年の中銀の物価目標の設定をめぐる政府と中銀の対立が中銀の独立性に悪影響を及ぼすとの懸念が重石となった。個別銘柄では金融大手ブラデスコが四半期決算で大幅減益となり、売られた一方で、原油価格の上昇を受け、国営石油大手ペトロブラスが上昇し、相場を下支えした。

 今週(13-17日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢や中国の大型気球の米領空侵犯を巡る米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済政策も注目される。主な経済指標の発表予定は15日の2月IGP-10インフレ指数(1月11日-2月10日まで物価変動指数)や16日のGDP(国内総生産)の先行きを占う2月IBC-Br経済活動指数など。

<関連銘柄>

ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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