米2月雇用統計、非農業部門雇用者数は31.1万人増―平均時給は予想下回る

経済

2023/3/13 8:37

<チェックポイント>

●インフレ圧力の緩和期待高まる―米金利が急低下

●失業率は3.6%と4カ月ぶりに上昇―市場予想上回る

●製造業が減少に転じる―部門別では政府部門が前月の反動で急減速

 米労働省が10日に発表した2月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比31万1000人増と2カ月ぶりの低い伸びとなったが、市場予想の平均値である22万5000人増を上回った。

 対照的に、失業率は3.6%と4カ月ぶりに上昇に転じ、市場予想の3.4%を上回った。また、平均時給の伸びは前月比0.2%増(33.09ドル)と、市場予想の0.3%増を下回った。前年比も4.6%増と、市場予想の4.7%増を下回った。労働時間は34.5時間(1月は34.6時間)だった。

 セクター別では、製造業が前月比4000人減と、1月の1万3000人増から減少に転じ、建設業は2万4000人増と、1月の3万5000人増から伸びが鈍化した。自動車・同部品製造業は200人増と、1月の5100人減からわずかながら増加に転じた。

 サービス業は前月比24万5000人増と、1月の33万5000人増から伸びが鈍化した。このうち、小売業は5万100人増(1月は3万3900人増)と伸びが加速したが、運輸・倉庫業は2万1500人減(同1万6300人増)と、減少に転じている。オンラインショッピングの伸び鈍化が背景。レジャー・接客業は10万5000人増(1月は11万4000人増)、専門・ビジネスサービス業は4万5000人増(同5万3000人増)と伸びが鈍化した。

 部門別では、民間部門が前月比26万5000人増と、1月の38万6000人増を下回った。また、政府部門が前月比4万6000人増と、スト参加者の職場復帰があった1月の11万8000人増から伸びが急減速した。

 労働市場への参加の程度を示す労働者の市場参加率は62.5%と、1月の62.4%を上回り、3カ月連続で上昇、20年3月(62.6%)以来2年11カ月ぶりの高水準となった。市場参加率の上昇は労働力不足の緩和要因となる。

 FRBが重視している27週間以上の長期失業者数の割合は17.6%(105万7000人)と、1月の19.4%(111万1000人)を下回り、20年8月の11.5%以来2年6カ月ぶりの低水準となった。

 平均時給の伸びが市場予想を下回ったためインフレ圧力が弱まったとして、債券市場では利回りが急低下。次回FOMC(米連邦公開市場委員会)に対しても雇用統計の発表前は0.5ポイントの大幅利上げを警戒する動きが強まっていたが、足元では0.25ポイントの利上げにとどまるとの見方が大勢を占めている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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