【為替本日の注目点】ドル円続落し132円台前半に

為替

サーチナ

2023/3/14 10:54

ひと目でわかる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は続落し、一時は132円30銭までドル安が進む。信用不安が収まらず、安全資産の債券が大きく買われ、金利が一段と低下したことでドル売りが加速。ドル安の流れからユーロドルも上昇し、1.0748を記録。株式市場はやや落ち着きを取り戻したが指数はまちまち。ダウは90ドル下げ、5日続落。ナスダックは小幅に上昇。債券は大幅に続伸。長期金利は連日で大幅に低下し3.57%台で引ける。金は大幅に続伸し、原油は大幅に反落し74ドル台に。

マーケット情報

ドル/円 132.30 ~ 133.63

ユーロ/ドル 1.0650 ~ 1.0748

ユーロ/円 141.29 ~ 143.32

NYダウ -90.50 → 31,819.14ドル

GOLD +49.30 → 1,916.50ドル

WTI -1.88 → 74.80ドル

米10年国債 -0.125 → 3.573%

本日の注目イベント

豪 豪3月ウエストパック消費者信頼感指数

豪 豪2月NAB企業景況感指数

英 英ILO失業率(11-1月)

米 2月消費者物価指数

 シリコンバレー銀行(SVB)に次いでシグネチャーバンクの破綻も決まり、市場ではリーマン・ショックほどの大きな影響はないとしながらも、信用不安は払しょくできず、この日も安全資産が大きく買われています。米債券市場では10年債が大きく低下しただけではなく、政策金利の影響を受けやすい2年債利回りも大きく低下しています。10年債利回りは連日の低下で、3.57%台と、今年1月初旬の水準まで下げてきました。ドル円もこの動きに連動するかのようにドル売りが進み、一時は132円30銭を記録しています。また、リスク回避の際に買われる「金」も連日で大きく上昇し、ここ2日間で80ドルを超える上昇をみせています。

 米金融当局は金融システムの不安防止のため、SVBとシグネチャーバンクの2行について預金を全額保護すると発表し、信用不安の拡大防止に踏み切っています。13日から支払に応じたSVBの支店では早朝から多くの預金者が預金の引き出しに列を作ったと報道されています。米国では預金保険で保護される上限は、1口座当たり最大25万ドル(約3400万円)ですが、連邦預金保険公社(FDIC)は2行への預金について、「預金保険の対象外も含めて、顧客は13日以降いかなる損出も納税者が負うことはない」と発表しました。バイデン大統領も、2行の破綻を受けてホワイトハウスで演説を行い、「銀行システムは安全で、必要な時に預金は口座にあると国民は安心して大丈夫だ」とし、さらに、「これら顧客は全員、預金が保護され、今日現在において預金にアクセスできる。安心して欲しい」と国民に訴えました。同時に、「議会に対し銀行規制強化のほか、両行破綻を巡りしかるべき人の責任を明確化させる」ことを指示しています。

 今夜は2月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。2行の破綻でFRBの政策余地にも制限がかかる可能性が出てきました。先週まであった0.5ポイントの利上げ観測は、すっかり後退してしまい、市場では「0.25ポイントの利上げ」、もしくは「利上げ見送り」を織り込みつつあります。2月のCPIは、前月比で「0.4%」、前年同月比で「6.4%」と予想されています。予想を上回る強い数字になれば、インフレ阻止を目指し利上げをしなければならない状況下でも、簡単に利上げをできない可能性もあり、パウエル議長は難しい判断を迫られます。サマーズ元財務長官は2行の破綻を受けたなかでも、「インフレを抑制するという目標に米金融当局が注力し続けないのは、重大な誤りだと私は判断している」と述べ、「来週の会合で0.25ポイントの利上げが適切だとなお推測されるが、状況はいつも変化する可能性がある」と説明しています。また、次回会合で0.5ポイント利上げを検討対象から外すべきかとの質問に対して、「今は何も外さない。ただ、13日の時点で決定が下されるならば、0.5ポイントは理にかなっていない」と答えています。2行の破綻で、足元では金融市場に混乱が広がっているが、長期化はしないと考えていることが背景になっていると思われます。

 今後、第3、第4のSVBが出ないとも言えませんが、米金融当局が素早く対応策を発表したことや、2行ともローカルの銀行でグローバルな国際業務を行っていないことなどを考えると、時間はかかるものの落ち着きを取り戻すと考えています。FRBの政策が一段と難しくなるとの観測もあり、米長期金利は急低下していますが、足元のインフレ状況を考えると、このまま金利低下が続くとは予想できません。

本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想しますが、CPIの結果次第では乱高下もありそうです。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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