<新興国eye>カンボジアで日本酒試飲フェア、JETRO主催で

新興国

2023/3/24 8:48

 2月27日、カンボジア・プノンペン市内のホテルで日本貿易振興機構(JETRO)主催の日本酒試飲フェアが開催されました。フェアには、カンボジア商業省のクム・シートン長官、農林水産省のヒェン・バンホーン長官、植野篤志大使や、現地日本食レストラン、小売り関係者や政府関係者等100人以上が参加しました。今回のフェアは、カンボジアの富裕層や、富裕層を客層にもつレストランなどをターゲットとし、日本酒の認知向上と輸出拡大を目的として実施されたものです。

 フェアには、千古乃岩酒造(ちごのいわ:岐阜県)、笹祝酒造(ささいわい:新潟県)、酔鯨酒造(すいげい:高知県)、富久千代酒造(ふくちよ:佐賀県)の4酒蔵が参加しました。それぞれ厳選した5銘柄合計20銘柄の日本酒を紹介しました。紹介された銘柄の中には、日本でも希少性が高く、まだカンボジアには流通されていない酒も含まれていたとのことです。

 参加者の酒造会社からは「カンボジアは米食文化で、料理も発酵を大事にしているため、日本酒との相性が良い。カンボジア向けに輸出している酒造が少ないため、先入観のない新しい日本酒の文化を作れると期待している」とコメントがありました。また、試飲会に参加した現地小売事業者は「普段飲めない日本酒を20種類も飲み比べることができ、よい機会だった。これを機にカンボジアでの日本酒の取り扱いを拡大したい」と述べています。

 カンボジアへの日本の投資は、安価な労働力と、周辺諸国との連結性を活かした部品製造業等が主力となってきました。しかし、近年は、イオンを始めとして、日本産の商品や日本水準のサービスをカンボジアの富裕層・中間層に提供する業態の進出も進んできています。カンボジアはフランスの植民地であった歴史もあり、ワインは浸透が進んでいますが、日本酒や焼酎等は今のところ限定的なものとなっています。今回のフェアを契機に、まずは富裕層向けに日本酒も少しずつ浸透していくことが期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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