米2月新築住宅販売件数、前月比1.1%増の64万件―市場予想下回る

経済

2023/3/24 10:50

<チェックポイント>

●1月分が大幅下方改定―過去3カ月の販売件数は計4万1000件の下方改定

●住宅価格は上昇―高額物件の販売比率が上昇

●金融システム不安で住宅ローンの貸出し条件を厳格化の懸念も

 米商務省が23日に発表した2月の新築住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比1.1%増の年率換算64万件と3カ月連続で増加したが、市場予想の平均値である65万件を下回った。

 新築住宅統計はサンプル数が少ないため、月によって変動が大きく、また、数値の大幅改定を受けやすいこともあり、今回の販売件数も割り引いて見る必要がある。前月分は67万件から63.3万件に、過去3カ月(11-1月)の販売件数は計4万1000件の下方改定となっている。

 販売件数の内訳は、着工前時点での販売件数(バックログ)が前月比38%増の14万9000件となった一方、建築中の住宅販売件数は同1.5%減の26万9000件と2カ月連続で減少。完成住宅の販売件数も同11.9%減の22万2000件と2カ月連続で減少した。

 地域別では、主力の南部が前月比3%増の41万5000件となったほか、南部に続いて大きい西部が同8.1%増の13万3000件となり、全体を押し上げた。対照的に北東部は同40%減、中西部は同1.4%減だった。

 住宅価格は、中央値(季節調整前)で前月比2.7%上昇の43万8200ドルとなった。販売価格帯を見ると、40万ドル以上の高額物件の販売比率が62%(1月は54%)に上昇した一方、40万ドル未満の手ごろ物件比率は38%(同46%)に低下し、高額物件にシフトした。

 住宅供給(在庫)をみると、新築住宅在庫(着工前や建築中の住宅も含む。季節調整値)は前月比2.5%減の42万7000件と10カ月ぶりの低水準となった。2月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は7.2カ月相当と、前月の8カ月相当から3カ月連続で低下、22年3月(5.9カ月相当)以来、11カ月ぶりの低水準となっている。

 住宅在庫のうち、すぐに販売できる完成件数は前月比同5.9%増の7万2000件と、11カ月連続で増加した。未着工件数は全体の21.7%(9万5000件)、建築中件数も全体の62%(26万9000件)を占めている。労働者の確保が困難となっており、供給が不足している。在庫全体では住宅バブル期の在庫水準(45万件)に近いが、フレディマックの調査によると、現在の住宅取得需要は依然強く、需要を満たすためには住宅供給は最大400万件不足していると試算されている。市場の一部では最大で500万件が不足しているとの見方もある。

 今後の見通しについては、市場では住宅価格が依然高水準なことや、FRB(米連邦準備制度理事会)が次回5月会合でも利上げを継続するため、住宅ローン金利が加速する可能性があり、23年も新築市場には逆風が吹き続けると見ている。最近の銀行危機により、住宅ローンは再び低下しているものの、信用不安の高まりで、今後、銀行の住宅ローンの貸出し条件を厳格化する恐れもあると見ている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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