米1月S&PコアロジックCS住宅価格指数、前年比3.8%上昇―10カ月連続で減速

経済

2023/3/29 8:57

<チェックポイント>

●主要20都市圏は前年比2.5%上昇―市場予想と一致

●20都市圏のうち19都市で伸び鈍化

●S&P、「住宅価格は今後数カ月減速する」と予想

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が28日に発表した1月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(季節調整前)は、一戸建て中古住宅の価格動向を示す総合指数である全米住宅価格指数が前月比0.5%低下の292.71と7カ月連続で低下した。季節要因を無視できる前年比は3.8%上昇(前月は5.6%上昇)と10カ月連続で減速した。

 また、市場が最も重視している主要20都市圏の価格指数は、前月比0.6%低下の296.88と7カ月連続の低下となった。前年比は2.5%上昇(前月は4.6%上昇)と9カ月連続で減速し、市場予想と一致した。大半の19都市で前年比の伸びが前月を下回った。主要10都市圏は、前月比0.5%低下の309.07、前年比は2.5%上昇と。

 都市別の前年比では、マイアミは13.8%上昇、タンパが10.5%上昇と、2ケタの伸びを維持したのは2都市のみ。アトランタが8.4%上昇となり、シャーロットは8.1%上昇、ニューヨークは5.2%上昇、ダラスは5.0%上昇、シカゴとクリーブランドが4.8%上昇、ボストンは4.2%上昇、デトロイトは3.2%上昇、デンバーは1.0%上昇、ロサンゼルスは0.9%上昇、ラスベガスは0.4%上昇、フェニックスは横ばいとなった。

 また、サンフランシスコの7.6%低下をはじめ、シアトルは5.1%低下、サンディエゴは1.4%低下、ポートランドは0.5%低下と、4都市が低下した。南部や南東部が強く、西部ほど伸びが弱くなっている。

 S&P500指数を運営しているS&Pダウジョーンズ・インデックスのマネージング・ディレクター兼指数管理担当責任者であるクレイグ・ラザラ氏は、「1月は19都市が前月の伸びを下回り、市場の弱さが広がっている」とした上で、今後の見通しについては、前回発表時と同様、「最近の銀行危機にもかかわらず、FRB(米連邦準備制度理事会)が金利を引き上げ続ける見通しのため、住宅価格に逆風が吹き続ける。厳しいマクロ経済の状況も考えると、(価格上昇は維持できず)住宅価格は今後数カ月、減速する可能性が高い」と見ている。

 中古住宅市場は現在、春の繁忙期に入ったが、高水準の住宅ローン金利や経済の先行き不透明に加え、最近の銀行危機により、地銀の融資条件が厳格化する可能性が高いため、市場では、住宅価格の低下圧力が掛かるとみている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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