<新興国eye>ルーマニア中銀、予想通り金利据え置き―3会合連続

新興国

2023/5/12 8:52

 ルーマニア国立銀行(中銀)は10日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 また、中銀は主要政策金利の「プラス・マイナス1ポイント」のレンジの上限としている、市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利も8.00%に、下限にあたる資金吸収のための預金金利も6.00%に、いずれも据え置いた。

 中銀が金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率についても、自国通貨建ての預金準備率を8%、外国通貨建ての預金準備率も5%に、それぞれ据え置いた。

 中銀は急速なインフレ上昇を受け、21年10月会合で3年5カ月ぶりに利上げを再開。今年1月会合まで11会合連続の利上げを実施、利上げ幅は計5.75ポイントに達している。1月会合で利上げサイクルを一時休止した。これで据え置きは3会合連続。金利水準は依然、10年以来13年ぶりの高水準にある。

 中銀は会合後の声明文で、金利据え置きを決めたことについて、前回4月会合時と同様、「ウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁措置、さらには最近の米国とスイスの銀行危機が景気見通し、ひいては中期的なインフレ見通しに対する不確実性とリスクを生み出している」とした上で、「入手可能な最新の経済指標と、こうした最近の不確実性の高まりを考慮し、金利据え置きを決めた」としている。

 また、中銀が金利据え置きを決めたもう1つの背景にはインフレ率が22年10-12月期をピークに低下傾向に入ったことがある。22年12月のインフレ率は前年比16.37%上昇と、主に原油価格や燃料価格の下落により、11月の同16.76%上昇を下回り、今年に入っても2月は同15.52%上昇、3月は同14.53%上昇と、伸びが着実に減速、中銀は、「1-3月期のインフレ率は9四半期ぶりに、経済予測通り、低下した」と強調している。

 インフレ見通しについて、中銀は、「インフレ率はおそらく、以前に想定されたものとほぼ同様の下降軌道をたどり、23年7-9月期に1ケタの伸びに鈍化、経済予測期間の終わりには物価目標(1.5-3.5%上昇)付近にとどまる」と見ている。

 また、今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「持続可能な経済成長を達成し、中期的にインフレ期待を抑制、インフレ率を物価目標に戻すことを目指す」とし、景気支援とインフレ抑制の両立を目指す考えを改めて強調。ただ、前回会合時と同様、「中期的な物価安定の達成に必要なあらゆる手段を講じる用意がある」とし、利上げの可能性に含みを残した。

 しかし、市場ではムグル・イサレスク総裁はインフレ率が政策金利水準に低下するまで金利を据え置く考えを示しているため、また、コア指数の上昇圧力が依然強いため、利上げサイクルを事実上、終了した上で、24年4-6月期まで現状維持を続ける可能性があると見ている。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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