<新興国eye>カンボジアのシアヌークビル港、新コンテナターミナル起工式―日本が円借款で支援

新興国

2023/5/19 8:50

 5月1日、カンボジア南部のシアヌークビル港にて、新コンテナターミナルの起工式が開催されました。式典には、フン・セン首相、スン・チャントル公共事業運輸大臣、ロー・キム・チュン・シアヌークビル港湾公社総裁、植野篤志大使等関係者多数が参加しました。式典は、日本カンボジア友好70周年も記念するものでした。

 日本は、これまでも多額の円借款や無償資金協力で、シアヌークビル港の整備に協力してきました。新たなコンテナターミナルについても、第1フェーズ向けに2017年8月に235億200万円の円借款を供与したのに続き、2022年8月に第2・第3フェーズ向けに413億8800万円の円借款を供与して、その建設を支援しています。

 この事業は、カンボジア唯一の大水深港であるシハヌークビル港において、新コンテナターミナルを拡張することにより、本港のコンテナ貨物取扱容量の向上を図り、もって本港に寄港する航路数の増加およびカンボジアの貿易促進に寄与することを目的としています。現在、約70万TEU/年の取扱能力を有するシアヌークビル港ですが、2026年完成予定の第1ターミナルは45万TEU、第2ターミナルは57万TEU、第3ターミナルは62万TEUの取扱が可能となるため、2029年を予定する全体の完成後は現在の3倍以上の取扱が可能となる計画です。

 現在、シアヌークビル港から輸出されるコンテナは、シンガポール等の主要ハブ港で積み替えられて、北米やヨーロッパに向かうものが多くなっています。本事業の完成後は、大型コンテナ船の入港も期待され、北米直行便等が運行される可能性もあり、輸送期間の短縮や効率化、コスト削減等の効果が期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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