【為替本日の注目点】ECBも0.25ポイントの利上げで追随
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ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は乱高下。米GDPの発表を受け朝方には141円30銭まで急速にドル高が進んだが、「日銀がYCCの修正案を議論」との報道にドルが急落。138円77銭まで売られる。ECBは予想通り0.25ポイントの利上げを決める。ラガルド総裁の発言がややハト派的だったが、1.09台半ばまで下落した後1.11台半ばまで反発。株式市場は3指数が揃って下落。ダウは233ドル下げ、連騰記録の更新はならず。債券は大きく売られ、長期金利は一時4%の大台を回復。金は大きく下げ、原油は反発し80ドル台に載せる。
マーケット情報
新規失業保険申請件数 → 22.1万件
6月耐久財受注 → 4.7%
4-6月GDP(速報値) → 2.4%
6月中古住宅販売成約件数 → 0.3%
ドル/円 138.77 ~ 141.30
ユーロ/ドル 1.0966 ~ 1.1138
ユーロ/円 152.19 ~ 156.09
NYダウ -233.40 → 35,282.40ドル
GOLD -24.40 → 1,945.70ドル
WTI +1.31 → 80.09ドル
米10年国債 +0.131 → 3.998%
本日の注目イベント
日 7月東京都区部消費者物価指数
日 日銀金融政策決定会合
日 植田日銀総裁記者会見
独 独7月消費者物価指数
欧 ユーロ圏7月景況感指数
欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数
米 4-6月雇用コスト指数
米 6月個人所得
米 6月個人支出
米 6月PCEデフレータ(前月比)
米 6月PCEデフレータ(前年比)
米 6月PCEコアデフレータ(前月比)
米 6月PCEコアデフレータ(前年比)
米 7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
米 企業決算 → エクソンモービル、P&G,シェブロン
今日のコメントはECBの金融政策を中心に展開しようと思っていましたが、今日の日銀決定会合を巡る報道にドル円が大きく動き、ひょっとしたら政策修正もあり得るといった雰囲気がにわかに台頭してきたことで、やはりドル円が中心になります。
米第2四半期GDP速報値がNYの朝方に発表され、「2.4%」と予想外の強さにドル円は141円台に載せ、141円30銭まで買われました。前日のパウエル議長の「ハト派寄り」の会見でドルの上値が重くなっていましたが、「9月に利上げがあるかどうかはデータ次第だ」と言っていたこともあり、GDPの上振れは追加利上げを想起させ、株式と債券が売られ、長期金利が大きく上昇したことがドル円を押し上げました。個人消費が思ったほど減速しなかったことと、堅調な設備投資が寄与したと分析されています。ところが、そのタイミングで日経新聞電子版が「日銀は28日に開く金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正案を議論する」と報じたことでセンチメントが一変しました。
報道を受けドル売りが加速し、一時は138円77銭前後までドルが急落しました。もともと日銀が動けばかなりの円高に振れると予想していましたが、『修正案を議論する』といった報道だけで、2円50銭を超える円高が進んだことになります。市場はそれほど今回の会合には過敏になっているということの証左であろうかと思います。ユーロ円にいたっては4円程の「ユーロ安円高」となり、6月15日以来となる円高水準を記録しています。これまで何度も「日銀は動かないというのがコンセンサスになっており、サプライズはないとは思いますが、念のため頭の片隅に」と、筆者は注意喚起をしてきました。日銀会合についてはすでに何度も政策変更観測が浮上しては消え、市場参加者の思惑も加わり相場を乱高下させてきましたが、最後の最後にまた不透明さが増すことになっています。本日の会合で修正や変更があればドル円は135円を目指すことになりますが、現状維持だとすれば140円台に戻す可能性もありそうです。発表の時間と内容には十分注意が必要です。
ECBは27日に開催した理事会で政策金利を0.25ポイント引き上げることを決めました。声明文で、「将来の決定はインフレ率が中銀目標の2%に速やかに戻るよう、必要な限り政策金利が十分に景気抑制的な水準に設定されていることを確実にする」と説明し、「政策委員会は景気抑制の適切な水準と期間を決定するに当たり、データ依存のアプローチを続ける」としています。ラガルド総裁は会合後の会見で、「9月とその後の決定についてはオープンな考えだ。利上げをするかもしれないし、据え置くかもしれない」と発言し、据え置く場合は「必ずしも長期間続けるとは限らない」と述べました。この発言は前日のパウエル議長の発言にも似ていますが、ラガルド氏はこれまでに何度もタカ派寄りの発言を繰り返してきたこともあり、この日の発言はかなり「ハト派寄り」と受け止められたようで、一部には「歴史的な引き締めサイクルは終わりに近づいている」と受け止めた向きもあったようです。
本日のドル円は決定会合の結果次第でどちらにも動くこととなり、レンジ予想の意味もないと考えます。『修正案を議論する』という報道だけで円高方向に大きく振れたことを考えれば、仮に変更がなかった場合でもドルの上値リスクは限定的かと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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