米7月雇用統計、非農業部門雇用者数は市場予想下回る18.7万人増―失業率は3.5%に低下

経済

2023/8/7 8:13

<チェックポイント>

●2カ月連続で20万人割れ―5月、6月分が下方改定

●製造業が減少に転じ、レジャー・接客業は伸び鈍化

●追加利上げ観測後退、失業率低下や平均時給の伸び受けリセッションへの警戒も薄れる

 米労働省が4日に発表した7月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比18万7000人増となり、市場予想の平均値である20万人増を下回った。5月分が30.6万人増から28.1万人増、6月分が20.9万人増から18.5万人増にそれぞれ下方改定されており、20万人増を下回るのは2カ月連続となる。

 このほかの指標は、失業率が3.5%と、市場予想や6月の3.6%から0.1ポイント低下。平均時給は前月比0.4%増の33.74ドルとなり、市場予想の0.3%増を上回った。前年比でも4.4%増と、市場予想の4.4%増を上回った。一方、労働時間は34.3時間と、前月の34.4時間をやや下回り、コロナ禍以来の低水準となった。需要が弱まると従業員の勤務時間が短縮される。

 雇用者数をセクター別でみるとは、製造業が前月比2000人減(6月は6000人増)と減少に転じたほか、金利上昇の影響を受けやすい建設業は同1万9000人増(同2万6000人増)にとどまった。

 サービス業は前月比15万4000人増(6月は9万7000人増)に急加速。運輸・倉庫業は同1万7900人増(同8200人減)と増加に転じたが、最近の雇用市場をけん引してきたレジャー・接客業は同1万7000人増(同1万9000人増)と伸びが鈍化。専門・ビジネスサービス業は同8000人減(同2万3000人増)と減少に転じた。

 部門別では、民間が前月比17万2000人増となり、6月の12万8000人増(改定前は14万9000人増)を大幅に上回り、伸びが急加速した。対照的に、政府部門が同1万5000人増となった。前月(改定値)は民間が12万8000人増、政府が5万7000人増だった。

 市場では、今回の雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回ったことから、FRB(米連邦準備制度理事会)によるこれまでの利上げの影響が現れているとして、追加利上げ観測がやや後退した一方、失業率の低下や、市場予想を上回る賃金の伸びを受け、リセッション(景気低迷)懸念も後退。FRBの金融引き締めを乗り切り、米経済のソフトランディング(緩やかな調整)の可能性が高まったと見ている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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