<新興国eye>ルーマニア中銀、予想通り金利据え置き―7会合連続

新興国

2023/11/9 8:48

 ルーマニア国立銀行(中銀)は8日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 また、中銀は主要政策金利のプラス・マイナス1.00ポイントのレンジの上限としている、市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利も8.00%に、下限にあたる資金吸収のための預金金利も6.00%に、いずれも据え置いた。

 中銀が金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率についても、自国通貨建ての預金準備率を8.00%、外国通貨建ての預金準備率も5.00%にそれぞれ据え置いた。

 中銀は急速なインフレ上昇を受け、21年10月会合で3年5カ月ぶりに利上げを再開、。今年1月会合まで11会合連続の利上げを実施し、利上げ幅が計5.75ポイントに達したことを受け、1月会合で利上げサイクルを休止した。これで据え置きは7会合連続。金利水準は依然、10年以来13年ぶりの高水準にある。

 中銀は会合後の声明文で、金利据え置きを決めたことについて、「中東紛争に伴う原油価格の上昇により、インフレ見通しに対するかなりの不確実性とリスクが生じている」、また、「同時に、ウクライナ戦争と中東紛争、欧州の予想を下回る景気低迷により、経済活動の見通しに対するかなりの不確実性とリスクも生じている」とした上で、「入手可能な最新の経済指標と、こうした最近の不確実性の高まりを考慮し、金利据え置きを決めた」としている。

 景気の見通しについては、中銀は23年後半に経済成長が大幅に減速し、7-9月期GDP伸び率は従来予想よりも緩やかになると予想している。23年4ー6月期は前年比1.7%増だった。

 インフレの見通しについては、中銀は声明文で、「インフレ率は予想通りに8月の前年比9.43%上昇から9月は同8.83%上昇に低下。コアインフレ率(調整後コア2)も9月は同11.3%上昇と、6月の同13.5%上昇から低下した」とし、その上で、「最新の11月経済予測では、年間インフレ率は一部の税金や手数料の増加と導入の影響を受けて、24年初めに上昇し、その後、数四半期にわたって徐々に低下、25年には低下が加速し、物価目標の範囲内に収束することが予想される」としている。

 また、今後の金融政策について、中銀は前回10月会合時と同様、「持続可能な経済成長を達成し、中期的にインフレ期待を抑制、インフレ率を物価目標に戻すことを目指す」とし、景気支援とインフレ抑制の両立を目指す考えを改めて強調したが、「中期的な物価安定の達成に必要な手段を講じる用意がある」とし、追加利上げの可能性に含みを残した。

 ただ、市場ではムグル・イサレスク総裁がインフレ率が政策金利水準に低下するまで金利を据え置く考えを示していることや、コア指数(調整後コア2)が依然高水準のため、24年上期まで現状維持を続けると見ている。

 次回の金融政策決定会合は24年1月12日に開かれる予定。

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 上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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