【為替本日の注目点】ドル円一時152円に迫る
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は続伸し一時は151円91銭と、昨年10月の高値に接近。この水準から151円21銭前後まで急落するも、介入は確認できず。ユーロドルは小幅に反発し、1.07台に載せる場面も。ユーロ円は続伸し、欧州市場では162円36銭前後まで上昇。株式市場はまちまちの展開。ダウは続伸したものの、ナスダックとS&P500は反落。今夜発表のCPIの結果を待つ姿勢が強まる。債券は小幅に反発し、長期金利は4.64%へとやや低下。金は反発し原油は続伸。
マーケット情報
10月財政収支 → -66.6b
ドル/円 151.21 ~ 151.91
ユーロ/ドル 1.0666 ~ 1.0706
ユーロ/円 161.53 ~ 162.31
NYダウ +54.77 → 34,337.87ドル
GOLD +12.50 → 1,950.20ドル
WTI +1.09 → 78.26ドル
米10年国債 -0.012 → 4.640%
本日の注目イベント
豪 豪11月ウエストパック消費者信頼感指数
豪 豪10月NAB企業景況感指数
独 独11月ZEW景気期待指数
欧 ユーロ圏7-9月期GDP(改定値)
英 英ILO失業率(8-10月)
英 英10月失業率
米 10月消費者物価指数
米 バイデン大統領、サンフランシスコ訪問
米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
ドル円はジリ高が続き、NYでは151円91銭まで上昇し昨年10月の高値である151円95銭に接近。この水準では政府日銀が介入を実施した水準であったこともあり意識されたと思いますが、昨日もこの水準からドルが急落する場面がありました。ドル円はここから70銭程一気に売られ、151円21銭辺りまで下げたことで、「すわぁ、介入か」といった観測も流れましたが、今朝の報道では日本の金融当局の介入ではなく、オプションに絡む取引が影響したことのようです。ブルームバーグによると、1ドル=152円の水準で13日に満期日を迎えるドル円のオプションが約12億5000万ドル(約1890億円)相当あり、それがこの水準付近での円の急激な動きにつながった可能性が高いと伝えています。一方で、そうだとしてもこの水準ではやはり介入が相当意識されていることの裏返しでもあり、152円を前に投資家も慎重になっているようです。再びこの水準で介入がないようなら、ドル円はさらに上昇する可能性がありそうです。
NY連銀が発表した消費者の1年先の期待インフレは、わずかですが低下していました。同数値(中央値)は「3.6%」と、9月の「3.7%」から若干低下しており、5年先の期待インフレも同様の結果でした。FOMCメンバーのタカ派的な発言が相次ぐなかでも、投資家の間では米利上げも最終局面だといった見方は強く、これが株高を演じているようです。ただそれでも「ドル高円安傾向」には歯止めがかからず、一部には米債券利回りの一段の上昇を予想する声も根強く残っています。2024年度予算を巡る米議会の混乱を理由に、昨日のコメントでも述べたように、格付け会社ムーディーズが米国債の見通しを「ネガティブ(弱含み)」にしたことで、米国債に売り圧力が増すのではという見方もあります。この辺りも、ドル円が買われる一因になっているのかもしれません。今のところ、ムーディーズの格付け見通し引き下げの影響はないようですが、実際に「Aaa」からの格下げが決定されるようだと債券売りにつながる可能性は否定できませんが、ただ実体面で言えば、あらゆる点で米国債にとって代わる発行体はありません。
イスラエルのガザ地区への攻撃が激しくなっていることで、連日TVなどでもその映像が流される時間が増えています。昨日はイスラエルのネタニヤフ首相が米TV局で発言している姿も放映されていましたが、人道的配慮は行っているとする一方、攻撃を止める意志は一切ないと言い切っていました。今や水、食料、電気などあらゆるものが不足しており、病院では生まれた赤ちゃんがただ寝かされた状態で「ゆっくりと死ぬのを待つだけだ」といったコメントもありました。ガザ地区で活動する国連機関は、燃料不足のため同地域の人道活動を48時間以内に「停止」する。「今朝、われわれは契約する主要配水業者の2社が活動を停止した。燃料が尽きたからだ。これで20万人が飲料水を手に入れられなくなる」と発表しています。ロシア・ウクライナ戦争の影がますます薄くなって来ました。
本日は米10月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。ブルームバーグは、「米CPIは医療保険料の算出方法変更により、若干押し上げられる見通しで、ここ数カ月に見られていた物価圧力の緩和トレンドが反転する可能性がある」と報じています。本日のドル円は151円~152円50銭程度を予想しますが、引き続き152円前後で介入があるのかどうかと、152円を抜けて上昇するのかどうかと言う点が注目されます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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