<新興国eye>前週のブラジル株、米FRB議長ら幹部発言や失業率鈍化に6週続伸=BRICs市況

新興国

2023/12/4 9:06

 前週(11月27日ー12月1日)のブラジル株式市場は1日のボベスパ指数が前日比0.67%高の12万8184.91、週間ベースでは11月24日終値比2.13%高と、6週続伸した。

 週明け27日は指数が上昇、翌28日も続伸した。29日は反落。30日は反発した。

 週前半は、ブラジル中銀の経済週報「フォーカス・ブルティン」で、23年のインフレ見通しが前週予想の4.55%上昇から4.53%上昇に3週連続で引き下げられたことが好感され、買いが優勢となった。

 その後は、、FRB(米連邦準備制度理事会)のウォラー理事が講演で、インフレ低下が続けば、数カ月後に利下げに転換する可能性を示唆したことが好感され、買いが強まった。ただ、市場が注目した11月のインフレ見通しを占う11月中旬時点のIPCA(拡大消費者物価指数)が前月比0.33%上昇と、前月(0.21%上昇)と市場予想(0.3%上昇)を上回ったため、上値が重くなった。

 週後半は、ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)11月IGP-MIインフレ指数が前月比0.59%上昇と、前月の同0.5%上昇から大きく加速したことが嫌気され、売りが優勢となった。ただ、前日のFRBのウォラー理事の利下げ転換発言が引き続き材料視されたため、下げは限定的となった。

 その後は、10月で終わった四半期ベースの失業率が7.6%と、市場予想(7.7%)を下回り、15年2月以来8年8カ月ぶりの低い伸びとなったことや、上院がオフショア(海外投資)と専用ファンド(高所得者向けの個人投資ファンド)への課税法案を承認したことが好感され、買いが優勢となった。また、FRBが最も重視する米10月コアPCE(個人消費支出)物価指数が前月比0.2%上昇と、前月(0.4%上昇)から伸びが鈍化、利下げ転換まであと3会合は金利が据え置かれるとの従来見通しが確認されたことも支援材料となった。11月最後の取引で指数は21年7月以来2年4カ月ぶり高値を記録している。

 週末1日は続伸。ジェローム・パウエルFRB議長が講演で、「経済を必要以上に減速させるリスクはインフレ抑制に十分な利上げが行われないリスクに比べると、よりバランスがとれた」と述べたことを受け、利上げサイクルが終了したとの観測が強まり、買いが一段と強まった。

 今週(4ー8日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、西側の対ロ追加制裁、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策なども注目される。主な経済指標の発表予定は4日の11月IPC-Fipeインフレ指数(サンパウロ大学経済研究所の消費者物価指数)と10月経常収支、5日の7-9月期GDPと11月S&Pグルーバル・ブラジル非製造業PMI(購買担当者景気指数)、6日の10月財政収支と11月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGPーDIインフレ指数(全国卸売物価指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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