RBA、政策金利を据え置き―市場予想通り

経済

2023/12/5 14:43

<チェックポイント>

●インフレ高止まりへの懸念が後退

●行き過ぎた利上げによる景気後退懸念も緩める

●市場、さらなる利上げはソフトランディングの可能性に影響と

 豪準備銀行(RBA、中銀)は5日の理事会で、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を4.35%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。

 資金吸収オペとして、市中銀行のRBAへの預入残高である為替決済(ES)バランス(銀行間決済口座)に適用される公定レートも4.25%に据え置いた。

 RBAは7月会合から10月会合まで4会合連続で据え置き、前回11月会合では0.25ポイントの再利上げを実施していた。

 RBAのブロック総裁は、10月のインフレ率が緩やかな傾向にあることを据え置きの理由にあげている。インフレ高止まりリスクへの懸念を示す文言も使わなかったが、「海外ではサービス価格のインフレが続いている」とし、同様のことがオーストラリアでも起こる可能性があると警戒感を示した。

 インフレ高止まりリスク要因である賃金上昇の見通しについては、「生産性の伸びが加速すれば、賃金はこれ以上大きく伸びず、引き続き物価目標と一致する。雇用市場も依然タイトだが、徐々に緩和し続ける」と楽観的に見ている。賃金は第3四半期(7-9月)に伸びが加速しているが、公正労働委員会の決定を反映したもので想定の範囲内であることを強調した。

 景気リスクについては、23年上半期が予想よりも好調だったとした上で、「11月会合以降の国内経済の状況はほぼ予想と一致している」とし、行き過ぎた利上げによる景気後退懸念を緩めた。

 今後の金融政策については、「さらなる金融引き締めが必要になるかどうかは経済データと(景気やインフレの見通しに対する)リスクの動向次第」とし、引き続きインフレ抑制を優先させる考えを示した。

 市場では、さらなる利上げがソフトランディング(緩やかな調整)の可能性を低くするとみており、次回会合以降の利上げ再開のハードルは高そうだ。ただ、RBAはFRB(米連邦準備制度理事会)やニュージーランド中銀に比べ、過去の累積的な金融引き締めが少ないため、24年2月会合、または24年半ばまでに政策金利を引き上げる可能性を依然、残しているとの見方がある。

 次回会合は24年2月5-6日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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