【為替本日の注目点】FOMCメンバーのタカ派発言相次ぐ

為替

サーチナ

2023/12/19 10:02

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円はFOMCメンバーによるタカ派寄りの発言が相次いだことで143円台に乗せる。143円16銭まで買われたが本日の日銀決定会合を前に、様子見気分も広がる。ユーロドルは1.09台で小動き。ダウは8日続伸したものの終盤に失速しわずか86セント高。他の2指数も続伸。M&Aが再び活発化するとの期待も株価にプラスに働く。債券は反落。長期金利は3.93%台に上昇。金と原油は反発。

12月NAHB住宅市場指数 → 37

マーケット情報

ドル/円 142.72 ~ 143.16

ユーロ/ドル 1.0911 ~ 1.0931

ユーロ/円 155.84 ~ 156.30

NYダウ +0.86 → 37,306.02ドル

GOLD +4.80 → 2,040.50ドル

WTI +1.04 → 72.47ドル

米10年国債 +0.020 → 3.931%

本日の注目イベント

豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表

日 日銀金融政策決定会合

日 植田日銀総裁記者会見

欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(改定値)

米 11月住宅着工件数

米 11月建設許可件数

米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、FOXニュースとインタビュー

加 カナダ11月消費者物価指数

 NY市場ではドル円が143円台に乗せる場面もありました。先週のFOMC会合後のパウエル議長によるハト派寄りの発言に、メンバーの地区連銀総裁3人がけん制する発言を行ったことでドルを押し上げましたが、影響は限定的だったようです。債券は若干売られ金利が上昇しましたが、株式市場ではハイテク株が値を伸ばし日本製鉄のUSスチール買収のニュースもあり、ナスダックは続伸。ただ市場は本日の日銀決定会合の結果を見極めたいとする雰囲気もあり、値動きは小幅でした。

 クリーブランド連銀のメスター総裁は英フィナンシャルタイムズ(FT)とのインタビューで、来年の早期利下げを織り込んでいる金融市場について、「政策の正常化について、少し先走っている」とけん制する発言を行いました。また、自身は来年0.25ポイントの利下げを3回と予想する当局者の1人だと発言した上で、「利下げに関する議論が活発化すれば、1年先のインフレ期待と、それが2%の目標に向かってどの程度のペースで下がっていくかを注視する」と説明しています。またシカゴ連銀のグールズビー総裁も、CNBCとのインタビューで、「米金融当局は市場がどう反応するかを考えて行動すべきではない」と述べながらも、「先週のFOMC後に公開した四半期の経済・金利予測に対し、市場が示した反応に困惑している」と語っており、「インフレについては、著しい改善が見られるものの、目標には依然戻っていない」と指摘しています。デーリー・サンフランシスコ連銀総裁も、「今年のインフレ鈍化の程度を踏まえ、当局者が24年に利下げの検討を開始するのは適切だ」としつつも、「それがいつになりそうか臆測するのは時期尚早だ」と、ウォールストリートジャーナル紙(WSJ)とのインタビューで指摘しています。さらにブルームバーグのコラムニストで、元NY連銀総裁のダドリ-氏も、「パウエル議長らは、リセッション回避と過度なインフレ抑制の両立は可能だと考えている。筆者もそれがうまくいくことを願っている。しかし、残念ながら、そうはならない可能性もなお非常に大きい」と議長の政策の大転換に疑問を呈していました。

 それにしてもここまで利下げに対する慎重論が出て来ると、インフレとの闘いに自信を深めているパウエル議長の「先走りだったのでは」といった疑問も沸いてきそうです。この状況で、例えば22日(金)の11月PCEデータが市場予想を大きく上回るような結果が出た場合には、ドル円が限りなく145円に接近する可能性もないとはいえません。FRBによる利上げステージが終わり、一方で日銀によるマイナス金利解除などの政策変更が視野に入ってきたことを考えると、「2024年にかけては円高が進む」と予想するのは自然の流れかとは思いますが、まだそれほど単純な話ではないのかもしれません。

 本日のドル円は141円80銭~143円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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