<新興国eye>前週のブラジル株、給与税増税案や米早期利下げ観測後退を受け3週続落=BRICs市況

新興国

2024/1/22 9:03

 前週(15-19日)のブラジル株式市場は19日のボベスパ指数が前日比0.25%高の12万7635.65、週間ベースでは12日終値比2.56%安となり、3週続落した。

 週明け15日は指数が上昇。翌16日は急反落、18日まで3日続落した。

 週前半は、ブラジル中銀の経済週報で、24年インフレ見通しが前週予想の3.90%上昇から3.87%上昇に引き下げられ、23年の3.25%上昇に続き、2年連続で物価目標のレンジ(1.5-4.5%上昇)内に収束する可能性が強まったことが好感され、買いが優勢となった。

 その後は、イランがイラクの米総領事館をミサイル攻撃したことを受け、米経済への悪影響に対する懸念が強まり、売りが優勢となった。また、FRB(米連邦準備制度理事会)のクリストファー・ウォーラー理事が講演で、インフレ低下の持続が明確になるまで、利下げを急ぐべきではないと発言したことも売り材料となった。

 週後半は、フェルナンド・ハダド財務相が財政健全化のため、給与税の免税延長(27年まで)を段階的に廃止する、事実上の増税案を検討する方針を明らかにしたことが嫌気され、売りが優勢となった。前日のウォーラーFRB理事の利下げ慎重発言も引き続き重石となった。

 その後は、米12月小売売上高の伸びが市場予想を上回ったことを受け、米早期利下げ観測が後退したことや、重要な貿易相手国である中国の23年10ー12月期GDP伸び率が前月比5.2%増と、市場予想(5.3%増)を下回ったことが嫌気され、売りが広がった。

 週末19日は4営業日ぶり反発。市場が米利下げのタイミングに敏感となる中、FRB傘下のアトランタ地区連銀のラファエル・ボスティック総裁が講演で、「予想よりも早く、米利下げに転換することについては(予断を持たず)オープンなスタンスだ」とし、早期利下げに前向きな姿勢を示したことで、買い安心感が広がった。また、GDP伸び率の先行指標となっている23年11月のIBC-Br(経済活動指数)が前月比0.01%上昇と、4カ月ぶりに上昇に転じたことも支援材料となった。

 今週(22-26日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、中東・紅海でのイエメン武装勢フーシ派による船舶攻撃、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策なども注目される。主な経済指標の発表予定は25日のジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)1月消費者信頼感指数など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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