<新興国eye>ハンガリー中銀、予想下回る0.75ポイント引き下げ―利下げ継続を示唆

新興国

2024/2/1 8:53

 ハンガリー中央銀行は1月30日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を0.75ポイント引き下げ、10.00%とすることを決めた。市場の大方は1.00ポイントの利下げを予想していた。

 また、中銀は他の主要政策金利についてもベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を9.00%、また、上限を示す翌日物有担保貸出金利も11.00%と、それぞれ同率引き下げた。新金利は1月31日から適用開始。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)でインフレが加速したため、22年9月会合まで17会合連続で利上げを実施したが、利上げ幅が計12.40ポイントに達し、金利水準も99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となったため、22年10月会合から据え置きに転換し、23年9月会合まで12会合連続で据え置いた。しかし、最近のインフレの鎮静化を受け、同10月会合で、コロナ禍の20年7月以来、3年3カ月ぶりに利下げに転換しており、今回で4会合連続となった。利下げ幅も0.75ポイントのペースを維持している。

 中銀は今回の金利引き下げについて、「ハンガリー経済のディスインフレが広範囲に及び持続している。インフレ率の低下は昨年12月も急速に続いた。CPI(消費者物価指数)は前年比5.5%上昇、コアインフレ率は同7.6%上昇と、市場予想を大幅に下回った」とした上で、「外需と内需の物価上昇圧力も依然として低く、インフレリスクは一段と改善した。これにより、利下げの継続が可能になる」とし、前回会合時と同様、インフレ低下が進む中で、金融政策の正常化に向けた措置であることを改めて強調した。

 また、中銀は今後の金融政策についても、前回会合時と同様、「世界的なディスインフレと海外の投資家心理の不安定性を巡るリスクを考慮し、慎重なアプローチをとる必要がある。中銀は最新のマクロ経済のデータやインフレ見通し、リスクの見通しを注視しており、今後数カ月以内に政策金利のさらなる引き下げと最適な利下げペース(利下げ幅)を決める」とし、追加利下げの可能性を示唆した。

 利下げペースをめぐっては、政府は景気刺激のため、中銀に対し、より大幅な利下げを求めているが、中銀は慎重なスタンスを主張している。

 インフレの見通しについては、12月の全体指数が前年比5.5%上昇と、11月の同7.9%上昇から急低下しており、前回会合時と同様、「ディスインフレは24年第1四半期も続くと予想されており、その結果、春にはインフレ率が物価目標の許容範囲の上限に近づく可能性が高い」とし、25年にはインフレ率は物価目標の許容範囲内に収束すると見ている。中銀は24年のインフレ率の見通しを4.0-5.5%上昇(前回会合時は5.5%上昇)に引き下げ、25年と26年は2.5-3.5%上昇(同2.5-3.5%上昇)と、従来予想を据え置いた。

 次回の金融政策決定会合は2月27日に開かれる予定。

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 上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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