英中銀、賛成多数で金利据え置き―1委員が利下げ支持に転換

経済

2024/2/2 10:29

<チェック・ポイント>

●ベイリー総裁、「金利をいつまで現在の水準に維持すべきか検討続ける」

●ベイリー総裁、「フォワードガイダンスから金利上昇のバイアスを削除した」

●BOE、最新経済予測で物価目標の達成時期を25年から26年に1年延期

 イングランド銀行(英中銀、BOE)は1日、金融政策委員会(MPC)の結果を発表し、政策金利を5.25%に据え置くことを9委員中、6対3の賛成多数で決めたことを明らかにした。据え置きは市場の予想通りだった。

 金利据え置きは4会合連続。BOEの利上げサイクルは21年12月から今年8月までの14会合連続で止まったが、現行の5.25%の金利水準は依然、08年2月以来、約16年ぶりの高水準となっている。

 今回の会合では、9人の政策委員のうち、タカ派(インフレ重視の強硬派)のアンドリュー・ベイリー総裁ら6委員が据え置きを支持した一方で、超タカ派のジョナサン・ハスケルとキャサリン・マンの2委員(前回は3委員)がインフレ高止まりの長期化懸念から利上げを主張したが、ハト派のスワティ・ディングラ委員が前回の据え置き支持から利下げ支持に転換、三派に分かれた。ディングラ委員は金融政策の影響が景気とインフレに及んでくるまでのタイムラグを考慮し、直ちに利下げすべきと主張した。

 BOEは声明文で、利上げせず、金利据え置きを決めた理由について、英国経済の景気後退懸念が高まっていることを指摘している。BOEは、「金融政策の制限的なスタンスが実体経済の活動を圧迫し、雇用市場の弱体化につながっている。失業率は上昇する可能性がある」とし、景気後退懸念を強めている。

 また、BOEは金利を据え置いた要因として、インフレ上昇リスクが続いていることを挙げている。声明文で、「インフレ率はやや急激に低下した」としたが、「インフレ率は今年4-6月期に一時的に物価目標の2%上昇にまで低下するが、その後、7-9月期と10-12月期に再び上昇すると予想される」とし、年後半からのインフレ上昇リスクを指摘している。

 ベイリー総裁も金融政策決定の発表後の会見で、早期利下げの可能性について、「インフレ率は3月までに3%上昇、4-6月には約2%上昇に低下する可能性があるが、今年末までに再上昇すると予想されている。春にインフレ率が物価目標に戻れば我々の仕事が終わるというほど単純ではない」と述べ、4-6月に物価目標に戻ってもインフレ低下の持続性を示すものではなく一過性とし、早期利下げには慎重な姿勢を示した。

 また、同総裁は今回の会合で、ハト派のディングラ委員が利下げ支持に転換、三派に意見が割れたことに関し、「どれくらいの期間金利を現在の水準に維持すべきか検討し続ける」とした上で、据え置き期間の長さについても、「賃金上昇率や失業率など今後入手可能な経済データ次第だ」とし、また、「地政学的な緊張が高まっており、紅海航路の輸送量が大幅に減少している」とし、インフレリスクを注視する考えを示した。

 ただ、同総裁は、BOEの次の金融政策のステップが利上げか、利下げかについて、「金利上昇のバイアスを削除した」とし、ハト派寄りの姿勢を示した。また、総裁は、「金利の次の動きはおそらく上昇するという以前のガイダンスを撤回したことは良いニュースだ」、さらに、「金融政策がどの程度、制限的であるべきかという問題からどの程度の期間、制限的なスタンスを維持すべきかに問題が変わった」とも述べ、今後、利下げに向けた準備に入ることを示唆した。

 次回の会合は3月21日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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