<新興国eye>インド準備銀行、5対1の賛成多数で金利据え置き―5委員がタカ派姿勢を支持

新興国

2024/2/9 8:50

 インド準備銀行(中銀)は8日の金融政策決定会合で、インフレ上昇を抑制し、景気を支援するため、流動性調節ファシリティー(LAF)の主要政策金利であるレポ金利(中銀の市中銀行への翌日物貸出金利)を6.50%に据え置くことを5対1の賛成多数で決めた。市場の予想通りだった。

 前回会合時は全員一致だったが、今回の会合でジャヤント・R・ヴァルマ委員だけが0.25ポイントの利下げを主張、反対票を投じた。意見が割れたのは今回が初めて。

 また、中銀はレポ金利の据え置きに伴い、金融システムから余剰流動性を吸収するため、金利の上下幅(コリドー)についてもLAFのリバースレポ金利(市中銀行の中銀への預金金利)を6.25%、市中銀行が資金ひっ迫時に中銀から政府債を担保に資金を借りることができる流動性供給スキーム「MSF(マージナル・スタンディング・ファシリティー)」と公定歩合をそれぞれ6.75%に据え置いた。

 中銀はインフレの急加速を受け、22年5月4日の臨時会合で0.40ポイントの緊急利上げに踏み切り、23年2月会合まで6合連続で利上げを実施、利上げ幅は計2.50ポイントに達した。同4月会合から据え置きに転じ、これで据え置きは6会合連続。6.50%の金利水準は18年以来4年ぶりの金融引き締め水準となっている。

 また、中銀は今後の金融政策のスタンスについて、6委員中、大半の5委員(前回会合時も5人)が前回12月会合時と同様、「引き続き、成長を支援しながら、インフレが徐々に物価目標に収束するよう金融緩和の撤回(金融引き締め)に引き続き注力する」とし、利上げサイクルの終了宣言は時期尚早とし、一時休止の判断を示した。ただ、ジャヤント・R・ヴァルマ委員だけが今回の会合で中立スタンスをとった。

 金利据え置きを6会合連続で決めたことについて、中銀は声明文で、前回会合時と同様、「これらの決定はインフレ率を中期の物価目標である2-6%上昇(中央値4%上昇)の範囲内に戻し、経済成長を支援するという中銀の目的と合致する」としたが、「食品価格の変動(上昇)や、不透明な国際環境(地政学的リスク)による原油価格と金融市場の価格変動はインフレリスクとなっている」とし、金利据え置きを決めたとしている。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「インフレ期待の抑制を着実にし、過去の累積的な利上げのインフレ抑制効果をより強めるため、積極的なインフレ抑制策を継続する必要がある」とし、金融引き締めを維持する考えを示している。

 シャクティカンタ・ダス総裁は、「過去の累積的な利上げの効果は依然として十分に伝わっておらず、インフレ率がまだ物価目標を上回っている」とした上で、「中銀の仕事はまだ終わっていない。これまでの進捗を台無しにする可能性のある新たな供給ショックを警戒する必要がある」と述べてる。市場では中銀は今年後半まで利下げを開始しないと予想している。

 足元のインフレ状況は、23年12月は前年比5.7%上昇と、10月の4.9%上昇を底に、2カ月連続で伸びが加速、依然、物価目標の中央値を上回っている。中期見通しについては、23年度を5.4%上昇(前回会合時も5.4%上昇)と予想。第4四半期(24年1-3月期)は5%上昇(同5.2%上昇)と予想。

 24年度については4.5%上昇、第1四半期(4-6月)は5.0%上昇(同5.2%上昇)、第2四半期(7-9月)を4.0%上昇、第3四半期(7-9月)を4.6%上昇、第4四半期を4.7%上昇と予想している。

 他方、景気見通しについては、中銀は23年度の経済成長率を前回会合時の7.0%増から7.3%に引き上げた。堅調な投資に加え、製造業とサービス業がけん引する見通し。24年度は7.0%増を予想した。

 次回の金融政策決定会合は4月3-5日に開かれる予定。

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