ナレルGは視界良好、建設人材ニーズとらえ成長余地大

株式

2024/2/19 11:03

 ナレルグループ<9163.T>は、建設人材需要の高まりを商機に収益成長を続ける。上昇基調の株価には依然として割安感が残り、今後も要マークの存在だ。

<未経験者の戦力化強み>

 昨年7月に東証グロース市場にデビューした持株会社。建設業界向けの技術者派遣のワールドコーポレーション社を中核とし、IT技術者派遣のATJC社なども傘下に擁する。

 建設現場に施工管理者を派遣するサービスが収益の柱。高齢化を背景に業界の人材不足が年々深刻化する中、労働時間の上限が規制される「24年問題」も控える。このため、同社は事業規模を拡大する余地が大きい。

 カギを握る技術者の在籍数は前10月期末で2696人(前々期末比456人増)となり、3年前比では1.6倍に拡大した。人員をスピーディーに戦力化するノウハウを武器に、未経験者を積極的に採用する戦略を推進。年平均2割超の売上成長とともに、高い収益性を実現している(前期営業利益率は13.7%)。

 今期は売上収益218億円(前期比21%増)、営業利益27.7億円(同12%増)を計画する。都市部の再開発や旺盛な工場投資などにより、事業環境は引き続き良好だ。技術者在籍数は期末で3237人を見込む。また、課題である退職率についても、派遣先とのマッチング精度向上やキャリア形成のフォローを通じて抑制する構えだ。

<技術者5000人体制へ>

 同社はまだ中期経営計画を出していない。ただ、順調な採用ペースや慢性的な業界の人材不足を踏まえると、来期以降も高い収益成長が続く公算が大きい。小林良社長は「3年後に技術者在籍数5000人を目指す」と話し、2024年問題に関しては「単価への影響は(先行して残業時間が短縮傾向にあったため)小さい一方、稼働人数にはプラス材料になる」とみている。

 60兆円規模の建設市場が安定して存在する中で、同社は既存の施工管理者の派遣を強化するだけではなく、潜在需要の大きい建設ICT(情報通信技術)分野のコンサルティングや、コンピューターによるBIM(立体モデルでの設計・施工管理)人材の育成に力を入れる。また、専門的な技術を持つ職人や、個人事業主(一人親方)の紹介にも事業領域を広げる。

 株価は新規上場後の安値2119円を底に、右肩上がりで3600円台まで上昇した。ただ、PERは今期予想ベースで15倍台と一部の競合を大きく下回っている。また、グロース市場の銘柄ながら配当も比較的厚く(今期計画は年間110円、前期は95円)、利回りは3%超ある。このため、新興系株が買われにくい局面でも、選別物色の対象として注目される。

提供:ウエルスアドバイザー社

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