<新興国eye>トルコ中銀、金利据え置きに転換―当面、据え置き継続を示唆

新興国

2024/2/26 9:08

 トルコ中央銀行は前週(22日)の金融政策決定会合で、通貨トルコリラの安定とインフレ抑制のため、主要政策金利である1週間物レポ金利を45%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 今回の会合は24年2月2日に辞任したハフィゼ・ガイ・エルカン前総裁に代わり、新総裁に昇格したヤシャル・ファティ・カラハン氏の下で初めて開かれた。

 中銀はエルカン前総裁の就任後初めて開かれた23年6月会合で、2年3カ月ぶりに利上げに転換。利上げサイクルは前回1月会合まで8会合連続で実施され、金利水準は計36.5ポイント上昇、18-19年のピーク(24%)を大幅に上回り、過去最高を更新したことから、今回の会合で据え置きに戻した。据え置きは23年5月以来、9カ月ぶり。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、「金融引き締めの影響が景気とインフレに及んでくるまでのタイムラグ(時間差)を考慮し、ディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)を確立するため」とし、過去の利上げサイクルの効果を見守るとしている。

 また、中銀はインフレの現状認識について、「内需が引き続き抑制され、1月のコア指数のインフレ率は最新の経済予測通りだった」としたが、「サービス物価の高止まりや地政学的なインフレリスク、食品物価がインフレ圧力を維持している」とし、インフレリスクへの警戒感を示した。その上で、「今後、インフレ期待と企業の価格設定行動が予測通りに推移するか、また、賃金上昇のインフレへの影響を注視する」としている。

 今後の金融政策について、中銀は、「金融引き締めスタンスは今後もディスインフレ(物価上昇率の低下)に重要な役割を果たすトルコリラ高に寄与する」とした上で、前回会合時と同様、「毎月のインフレ率の傾向が大幅に低下するまで、また、インフレ期待が予測の範囲に収束するまで現行水準の政策金利が維持される」とし、当分の間、タカ派寄りの金利据え置きを続けるフォワードガイダンス(金融政策の指針)を示した。

 中銀は23年12月会合で、金融引き締め効果を補完するため、公開市場操作(オペ)による過剰流動性を吸収するための不胎化措置として、市中銀行から入札方式でリラ建て預金を買い入れる「預金買い入れ入札」の再開と、市中銀行のリラ建て国債の購入比率の引き上げを決めたが、今回の会合でも過剰流動性を吸収するための不胎化措置の継続を確認した。

 市場では金利据え置きは7-9月期まで続き、その間、外貨保護預金(KKM)制度(預金を外貨換算した際、目減りした損失を補填)から通常のリラ預金口座への迅速な切り替えや、預金準備率の引き上げなどの量的金融収縮(金融引き締め)措置が継続されると予想している。ただ、3月の地方選挙を控えた財政支出の拡大によるインフレリスクを受け、利上げが再開される可能性もあるため、早期利下げ開始は時期尚早となると見ている。

 次回の金融政策決定会合は3月21日に開かれる予定。

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 上場MSエマ<1681.T>

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