ECB、政策金利を4.50%に据え置き―6月の利下げ示唆

経済

2024/3/8 8:46

<チェック・ポイント>

●インフレ低下の進展に十分な自信持てないと指摘

●ラガルド総裁、「6月会合でさらに多くのこと分かる」

●市場、6月利下げ開始と年内計1ポイントの利下げを予想

 ECB(欧州中央銀行)は7日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を4.50%に据え置くことを決めた。据え置きは4会合連続で、市場の予想通りだった。

 会合後の声明文では、インフレ率の改善を認めつつも物価圧力は依然として強いと指摘しており、インフレリスクに対する警戒感を示している。今後の金融政策の方向性を示すフォワードガイダンス(金融政策の指針)についても、これまで同様に経済指標やコアインフレ率の動向などを見極めながら決めるとしている。

 ラガルドECB総裁も会合後の会見で、「2%上昇の物価目標に向けたインフレ率の低下の進展についてまだ十分な自信を持っていない」とし、当分の間は金利を据え置く考えを示した。ただ、「6月会合でさらに多くのことが分かるだろう」とも述べており、6月以降の利下げ開始の可能性に含みを持たせた。

 また、リセッション(景気低迷)懸念については、「賃金が上昇するなかでインフレ率が抑えられれば実質所得は回復し、成長を支えるだろう」と、景気の先行きに楽観的な見方を示している。

 ECBは今回の会合とともに発表した最新の経済予測で、24年のインフレ率(全体指数)を2.3%上昇(前回12月予測は2.7%上昇)、25年を2%上昇(同2.1%上昇)、26年を1.9%上昇(同1.9%上昇)に修正。コア指数は24年が2.6%上昇(同2.7%上昇)、25年は2.1%上昇(同2.3%上昇)、26年は2%上昇(2.1%上昇)と予想し、いずれも24年のインフレ見通しを改善方向に引き下げた。

 最新予測では24年の成長率見通しは0.6%増(前回12月予測は0.8%増)に下方修正された。ただ、その後、消費や投資に支えられ、25年には1.5%増(同2.3%増)、26年には1.6%増(2.1%増)に回復すると見ている。

 ユーロ圏の最新のインフレ率は2月が前年比2.6%上昇と、前月の同2.9%上昇を下回ったものの、市場予想の2.5%上昇を上回ったため、ECBの大半の政策委員はインフレに対する勝利宣言は時期尚早とみている。ただ、市場では景気見通しが下方修正されたことを受け、24年6月に利下げが開始される可能性が高まったとみており、年内4回の利下げ(1回0.25ポイントの利下げ換算)で計1ポイントの金利低下を予想している。

 次回の会合は4月11日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

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