<新興国eye>ポーランド中銀、予想通り金利据え置き―6会合連続

新興国

2024/4/5 8:55

 ポーランド中銀は4日の金融政策委員会で、ディスインフレ(物価上昇率の低下)が続いているものの、インフレ再加速リスクがあるとして、主要政策金利の7日物レファレンス金利を5.75%に据え置くことを決めた。また、中銀はロンバート金利と再割引金利、公定歩合、預金金利もそれぞれ6.25%、5.80%、5.85%、5.25%と、いずれも据え置いた。市場の予想通りだった。

 中銀はコロナ禍後のインフレ急加速を受け、21年10月会合で9年5カ月ぶりに利上げに転じ、22年9月会合まで計11会合連続で利上げを継続。利上げ幅が計6.65ポイントに達したことから、翌10月会合で据え置きに転じた。23年7月会合まで10会合連続で据え置いたあと、同9月会合で3年ぶりに利下げに転換、同10月会合でも利下げを決めたが、インフレリスクを警戒して同11月会合で据え置きに転換した。これで金利据え置きは6会合連続。

 中銀は声明文で、金利据え置きを決めた理由として、前回3月会合時と同様、「ポーランドではディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)が続いている」とした上で、「インフレ率は今後数カ月、物価目標と一致する水準で推移すると思われる」とし、インフレ低下の継続を挙げた。しかし、その一方で、中銀は、「今後数四半期はインフレの動向はかなりの不確実性を伴う。食品に対するVAT(付加価値税)税率の引き上げや、エネルギー価格の(上限撤廃による)上昇により、インフレ率は24年下期に大幅に上昇する可能性がある」とし、インフレ上ブレリスクを強調、金利を据え置いたとしている。

 同国の3月のインフレ率は前年比1.9%上昇と、前月(2月)の同2.8%上昇を下回り、23年2月の18.4%上昇をピークに13カ月連続で伸びが鈍化、物価目標とは3年ぶりに一致した。ちなみに、最新の3月経済予測では、24年のインフレ率の見通しを2.8-4.3%上昇、25年を2.2-5.0%上昇、26年は1.5-4.3%上昇を予想している。

 中銀はディスインフレが続いていることについて、「ポーランド経済は回復が見られるが、(インフレに対する)需要とコストの圧力は依然として低い。弱い経済状況と海外のインフレ圧力の低下が国内インフレの低下を支えている」としている。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「さらなる金融政策の決定はインフレと経済活動の見通しに関する今後の情報に依存する」とした上で、「インフレ率を中期的に物価目標にまで引き下げ、マクロ経済と金融の安定を確保するために必要なあらゆる措置を引き続き講じる」としている。

 市場では3月のインフレ率が物価目標と一致したにもかかわらず、中銀は今回の会合で利下げに踏み切らなかったのは、最近のディスインフレ傾向は長続きしないと見て、警戒していることが背景にあると見ている。アダム・グラピンスキー総裁も金利は年内は据え置かれる可能性が高いと示唆している。ただ、中銀は10-12月期に利下げについて議論を開始する可能性があると見ている。

 次回の会合は5月9日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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