米4月中古住宅販売件数、前月比1.9%減の年率414万件―市場予想に反して減少

経済

2024/5/23 8:41

<チェックポイント>

●金利が再上昇で2-3月の契約減少が影響との見方

●供給増の高額物件は販売増加

●住宅価格は前年比5.7%上昇―在庫増で今後は上昇ペース鈍化の可能性

 NAR(全米不動産業協会)が22日に発表した4月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比1.9%減の年率換算414万件と、市場予想(平均値は前月比0.8%増の422万件)に反して2カ月連続で減少した。前年比は1.9%減と、33カ月連続で前年水準を下回った。

 市場では住宅ローン金利が再び上昇し始めた2-3月に契約を結んだ住宅件数の減少が4月の統計に表れたと見ている。住宅ローン金利はフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の30年固定金利の平均約定金利でみると、1月中旬時点の6.6%から徐々に上昇していたが、3月になって7%から6.9%に低下したため、販売件数の増加が予想されていた。

 今回は予想に反して増えなかったが、最近の住宅ローン金利は5月1日に7.22%の直近ピークに達したあと低下傾向にある。1年前の6.93%を上回る水準だが、市場では今後、販売件数の潮目が変わる可能性があると見ている。

 また、NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は4月の統計について、「全体的に前月と変わっていない」としているが、前年と比べて供給が増えた100万ドル超の高額物件の販売件数が前年比で4割増えている。住宅供給の過不足感を示す4月時点の未販売住宅(在庫)は前月比9%増(前年比16.3%増)の121万件と4カ月連続で増加しており、販売ペースも、販売物件が4月中に市場に残っていた期間が26日間と、前月の33日間を大幅に下回るなど、春の需要期に入り、1カ月程度の短期間で売り切れるペースが加速してきた。

 販売ペースで換算した在庫水準は3.5カ月分と、前月(3.2カ月分)を上回り、2カ月連続で上昇、23年10月(3.6カ月分)以来の高水準。適正水準とされる5-6カ月分を下回っているものの、市場では手ごろ価格物件の供給が増えれば、潜在需要が一気に顕在化する可能性が高いとし、市場では年後半からの先行きは明るいと楽観的に見ている。

 住宅価格(中央値)は前月比3.7%上昇の40万7600ドルと3カ月連続で上昇、23年6月(41万0100ドル)以来、10カ月ぶりの高値となった。主力の一戸建てが前月比3.9%上昇の41万2100ドルと3カ月連続で上昇し、23年6月(41万5700ドル)以来の高値となった。ユン氏は、「住宅在庫(供給)が増加しているため、今後は住宅価格の上昇ペースが鈍化する可能性がある」と見ている。

 なお、主に投資家など住宅ローン金利の影響を受けない現金購入者の比率は28%(前月や前年同月も28%)だった。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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